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運命(仮)
キャラ設定
聖徳太子(厩戸) 女
御国のお姫様。
幼少期は皇子(救世主)として育てられた。
しかし、小野妹子という騎士が現れたので十歳になると、姫という立場で育てられることになる。
そして、成人になる歳の夏、何者かに暗殺されそうになる。
お転婆でド天然。妹子に甘えまくる。
妹子のことが大好き。
暴走すると殺人鬼となり誰も彼も傷付けてしまう。
殺人鬼のスイッチがONになるのは誰にもわからない。勿論、本人自身にも。
小野妹子 男(?)
御国の騎士。
腕っ節は天下一ともいえる。
本人はその気が無かったのだが、馬子によって姫の護衛を命じられる。
最初は太子のことが気に入らなかったが、段々と嵌っていく。
太子と一歳差で年下でありながらも、兄のように振舞う時も或る。
無自覚で疎い。逆プロポースをされてもポケラーンとしている。
女性には優しいが、太子には容赦ない。恐らく、愛情の裏返し(太子曰く)。
必殺技は「回し蹴り」。装備は剣に赤ジャージ。
閻魔大王 男
裏で何かやってる一人。
けれど、本人曰く「二人の味方」。
女好き。だが、太子には興味がないようである。
表は明るく意味の分からないオッサンだが、裏は何を考えているかわからない。ブラックで謎が多い人。
秘書の鬼男にも隠していることがある(らしい)。
鬼男 男
閻魔の秘書。
閻魔をイカ呼ばわりする唯一の人材。
一番の毒舌でなにか悪口を言わせたらもう止まらない。
閻魔の隠し事は知っているが認めようとはしない。
随時登場☆
(今考えてるのは夕子さんとか半蔵とか北島とか。曽良くんと芭蕉さんは出ない。たぶん)
/細かい設定
「輪廻」
太子を助けるために各地、各世界、色々な時代を飛び回ること。
閻魔の秘めたる能力(チカラ)による。
それで、太子を暗殺しようとする「暗黒の者」を倒すという旅。
色々仲間が加わるが、それはそれで。
「暗黒の者」
太子を暗殺しようとする者。
色々な空間にいるので強さも様々。十人十色。
裏で閻魔が操っているという噂も……?
「御国」
倭国の意。
「殺人鬼」
太子のこと。
太子の過去は一切不明。
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哀傷
妹子の嗚咽が聞こえる。どうしたんだろう。けど、聞くことが出来ない。もどかしさが握られた拳の中で動き出す。一歩踏み出したら拒絶されるだろうか。恐ろしさが込み上げてくる。右往左往していたら、がちゃりと扉が開いた。真っ赤な瞳にぐちゃぐちゃな顔。だけど、可愛らしいその表情は妹子そのものだった。
「……夜遅くどうしたんですか」
不機嫌な声。やはり、来てはいけなかったんだろうか。しどろもどろに口を動かしていると妹子は徐に不機嫌な顔になっていく。妹子は溜め息をつき奥を指差してより一層不機嫌そうに呟いた。
「中、入ってください。セーターも着ないで寒いでしょう?」
不機嫌なのにこうして気遣ってくれる。恐らく、私のことはただの優しくてうざったい先輩だとしか思っていないだろう。現に妹子は、私の知らない男に先程告白して振られたのだ。握り締められている携帯で判る。
私は変な胸騒ぎがしたので此処に来た。今日決着つけますという頼りない笑顔が胸の中から離れなかったのだ。男の勘というのも当たるらしく、来てみたらやはり彼女は泣き喚いていたのだ。
上がると甘い妹子の匂いが漂ってくる。自分の頬が紅潮していくのが判る。だから、ふわふわな絨毯に座るや否や手で頬を叩く。両親はいないらしく、一人暮らし。以前「一緒に住もうか」と本気で聞いたら、平手で叩かれたあと、「ふざけないでください」と一蹴された。本気なのにと涙を浮かべたらツンとそっぽを向かれたことが或る。あれもこれもいい思い出だなと出されたお茶を啜りながらふと思う。
彼女もお茶を私に出したあと、隣にそっと座ってくる。先程、シャワーを浴びたのだろうか、シャンプーのいい香りが漂ってくる。その香りに浸っていると、彼女の軽蔑的な視線が浴びせられるのに気づき、私は咳払いをしてまたお茶を啜った。
「やましいこと考えてるんじゃないんですか?」
含んだものを外に吐き出す。「うわ……」という呟きが虚しく耳に響き渡る。けれど、彼女は今日、始めて笑った。少し安堵したが私は「酷いなあ」と少し怒った。すると、また俯き顔になる。
「どうしたの、妹子」
分かってるくせに表面上の私は優しくない。本当は、優しく抱き締めて慰める冪なのに。だが、妹子は真実を話し始めた。時折、鼻を啜る仕草や声が震えるのが分かる。
紳士的な男性だったら、妬くなんてことしないと思う。けれど、私と言う穢れた生き物は出会ったことの無い男に今、妬いてしまっている。
「振られて……しまったんです。大好きな人に」
私は何も言わず頷く。けれど、どきまぎした気持ちが胸の中に生じているのは確かだ。
「なんで……こんなに苦しいんでしょうか?」
上目遣いに私を見上げる。潤んだ瞳で見られたら、どんな男でも抱き締めてしまう。真っ白になった私も思わず抱き締めてしまっていた。しかし、彼女は抵抗しなかった。寧ろ受け止めてくれた。酷く癇癪を起こしているが背中を摩る。耳元で「大丈夫だよ」「泣かないで」と囁いた。すると、段々と彼女の雨は止んでいく。なんで、こんな可愛らしい子を振るのだろうか。可哀想過ぎる、なんでだろう。私なら受け止めて上げれるのに。
「本当にその人のこと大好きだったんだね」
「はい……」
「……私じゃ駄目かな?」
何を口走っているのだろうか。妹子の心を救えるのは、私じゃないかもしれないのに。しかし、妹子は拒絶しなかった。けれど、頷く事も無かった。ただ一言微笑を浮かべて「有難う御座います」それだけだ。
もうすぐで十時を告げるので、私は帰る事にした。朝までいるよ、と言うと大丈夫です、と即答された。硝子のような私の心は粉々に砕かれたがやはり帰る事にした。
「じゃあ、また明日」
「はい。また明日」
私は一歩踏み出す。彼女は振り返り家に入ろうとする。それで、よかった。それがよかった。しかし、私は何を思ったか妹子を抱き締めていたのだ。
「やっぱり……駄目なの?」
「……ヘンタイ」
「それだけじゃ、判らない」
「莫迦じゃないですか?」
「愛してるよ」
「莫迦ですね。やっぱり」
いい、それでも、いい。
私が大莫迦ものだということも、わからずやだと言う事も十も承知だ。けれど、今夜は妹子を慰めてやりたいのだ。やましい気持ちなんて今は少しもない。ただ、先輩として連れ添っていたいのだ。
.
「太子」
「なあに?」
「好きな人、いますか」
嗚呼、そんなこと言わないでくれ。嘘を吐かなくてはならないじゃないか。
私は引き攣り笑いをして「いないよ」と答えた。そうですか、と答えた彼女は次の瞬間、眠りについてしまった。今すぐにでも口付けをしたい。やはり、私は人間と言う皮を着た狼なのではないかと思う。
「愛してるよ、妹子」
けれど、今日は約束した。ただ、慰めて頭を撫でるだけ。
新しい恋に出逢えるといいね。私は微笑を浮かべ、数秒後眠りについた。いい夢見れるかな。明日、また笑いあえるかな。ずっと一緒だよ、ずっとずっと……。
fin
「……夜遅くどうしたんですか」
不機嫌な声。やはり、来てはいけなかったんだろうか。しどろもどろに口を動かしていると妹子は徐に不機嫌な顔になっていく。妹子は溜め息をつき奥を指差してより一層不機嫌そうに呟いた。
「中、入ってください。セーターも着ないで寒いでしょう?」
不機嫌なのにこうして気遣ってくれる。恐らく、私のことはただの優しくてうざったい先輩だとしか思っていないだろう。現に妹子は、私の知らない男に先程告白して振られたのだ。握り締められている携帯で判る。
私は変な胸騒ぎがしたので此処に来た。今日決着つけますという頼りない笑顔が胸の中から離れなかったのだ。男の勘というのも当たるらしく、来てみたらやはり彼女は泣き喚いていたのだ。
上がると甘い妹子の匂いが漂ってくる。自分の頬が紅潮していくのが判る。だから、ふわふわな絨毯に座るや否や手で頬を叩く。両親はいないらしく、一人暮らし。以前「一緒に住もうか」と本気で聞いたら、平手で叩かれたあと、「ふざけないでください」と一蹴された。本気なのにと涙を浮かべたらツンとそっぽを向かれたことが或る。あれもこれもいい思い出だなと出されたお茶を啜りながらふと思う。
彼女もお茶を私に出したあと、隣にそっと座ってくる。先程、シャワーを浴びたのだろうか、シャンプーのいい香りが漂ってくる。その香りに浸っていると、彼女の軽蔑的な視線が浴びせられるのに気づき、私は咳払いをしてまたお茶を啜った。
「やましいこと考えてるんじゃないんですか?」
含んだものを外に吐き出す。「うわ……」という呟きが虚しく耳に響き渡る。けれど、彼女は今日、始めて笑った。少し安堵したが私は「酷いなあ」と少し怒った。すると、また俯き顔になる。
「どうしたの、妹子」
分かってるくせに表面上の私は優しくない。本当は、優しく抱き締めて慰める冪なのに。だが、妹子は真実を話し始めた。時折、鼻を啜る仕草や声が震えるのが分かる。
紳士的な男性だったら、妬くなんてことしないと思う。けれど、私と言う穢れた生き物は出会ったことの無い男に今、妬いてしまっている。
「振られて……しまったんです。大好きな人に」
私は何も言わず頷く。けれど、どきまぎした気持ちが胸の中に生じているのは確かだ。
「なんで……こんなに苦しいんでしょうか?」
上目遣いに私を見上げる。潤んだ瞳で見られたら、どんな男でも抱き締めてしまう。真っ白になった私も思わず抱き締めてしまっていた。しかし、彼女は抵抗しなかった。寧ろ受け止めてくれた。酷く癇癪を起こしているが背中を摩る。耳元で「大丈夫だよ」「泣かないで」と囁いた。すると、段々と彼女の雨は止んでいく。なんで、こんな可愛らしい子を振るのだろうか。可哀想過ぎる、なんでだろう。私なら受け止めて上げれるのに。
「本当にその人のこと大好きだったんだね」
「はい……」
「……私じゃ駄目かな?」
何を口走っているのだろうか。妹子の心を救えるのは、私じゃないかもしれないのに。しかし、妹子は拒絶しなかった。けれど、頷く事も無かった。ただ一言微笑を浮かべて「有難う御座います」それだけだ。
もうすぐで十時を告げるので、私は帰る事にした。朝までいるよ、と言うと大丈夫です、と即答された。硝子のような私の心は粉々に砕かれたがやはり帰る事にした。
「じゃあ、また明日」
「はい。また明日」
私は一歩踏み出す。彼女は振り返り家に入ろうとする。それで、よかった。それがよかった。しかし、私は何を思ったか妹子を抱き締めていたのだ。
「やっぱり……駄目なの?」
「……ヘンタイ」
「それだけじゃ、判らない」
「莫迦じゃないですか?」
「愛してるよ」
「莫迦ですね。やっぱり」
いい、それでも、いい。
私が大莫迦ものだということも、わからずやだと言う事も十も承知だ。けれど、今夜は妹子を慰めてやりたいのだ。やましい気持ちなんて今は少しもない。ただ、先輩として連れ添っていたいのだ。
.
「太子」
「なあに?」
「好きな人、いますか」
嗚呼、そんなこと言わないでくれ。嘘を吐かなくてはならないじゃないか。
私は引き攣り笑いをして「いないよ」と答えた。そうですか、と答えた彼女は次の瞬間、眠りについてしまった。今すぐにでも口付けをしたい。やはり、私は人間と言う皮を着た狼なのではないかと思う。
「愛してるよ、妹子」
けれど、今日は約束した。ただ、慰めて頭を撫でるだけ。
新しい恋に出逢えるといいね。私は微笑を浮かべ、数秒後眠りについた。いい夢見れるかな。明日、また笑いあえるかな。ずっと一緒だよ、ずっとずっと……。
fin
ヒトヒラノハナ(日和学パロ)
屋上に寝そべって夕陽を眺めている(自称)不良少年。彼の名は蘇我入鹿と言った。生徒会であるが、聖徳太子と小野妹子のあの関係に腹立たしくなってきたのが、彼のサボり魔を再び蘇らせた。いちゃいちゃするわ、勝手に二人の世界に入り込むわで入鹿は居心地が悪くなった。他の役員なんて来る気配も無い。なので彼は何時の日からかこうして屋上で夕陽を眺めることとなった。時折、淋しい気もするが彼は気にしないようにしていた。
切れ長で長い瞳に鋭い眼差し。ただ眉を顰めるだけで厳つい彼の女子からの人気は全く無い。好きな人は出来た事はあるが、振られに振られ、十八年間も彼女がいないことが発覚した。絶望や憤り通り越して完全に諦めてしまった。そんな春先のことであった。
行き成り強風が吹いたかと思うと直ぐにやんでしまった。なんだろうと辺りを見渡ても何も無い。ただ、桜の花弁が虚しく隣にひとつ来ただけだ。入鹿はちぇっと舌打ちをしそのまま眠りに陥ろうとした。すると、痛みが腹部に生じる。
「いってぇー!」
じんわりと痛む腹部を押さえる。今、彼は憤りを感じている。女子供だろうが叩きのめすつもりだった。いつも以上に鋭い目つきをし、倒れている人間を見つめる。恐らく、寝ている入鹿に足があたってこけてしまったのだろう。一見、男のように見えた。というのも、男子の制服を着ていたからであった。だが、起き上がると可愛らしい顔立ちであった。しかも、瞳には涙を溜めている。一気に入鹿の心拍数は上昇した。性は判らないが、声と顔からして男装をしている女性だろうと勘付く。
「すみません、すみませんっ。あた……僕、ぼーっとしていて……」
やはりそうだった。あたしといおうとした口を噤み、誤魔化し笑いを浮かべたかと思うとまた泣きそうな顔をする。入鹿は意味も無く立ち上がり首をぶんぶんと横に振った。唇が震えて声がまともに出ないのか身振り手振りだけになってしまう。しかし、少女は納得したようでまだ涙目だがにんまりと笑った。
「僕の名前は清架といいます。貴女の名前を教えてはくれませんか?」
「オレの名前は……えと、なんだったけ。えとー……そ、蘇我入鹿だっ」
体験したことのない緊張感に入鹿は挙動不審になった。だがしかし、清架は心の其処から微笑んだ。憂いや憐れみの感情なんて彼女には無かった。ただ、入鹿の不思議な言動に微笑んでいた。
握手を交わすと清架は思い出したように「あっ」と声を張り上げた。一つに結んでいる髪の毛が優雅に揺れる。すると、また泣き出しそうな顔で入鹿を上目遣いに見つめた。
「あの……。蘇我さん。僕、用事があって、帰らなきゃいけないんです」
何故、そんなことを泣きそうな顔をして自分に対して言うのだと不信感を抱いたが入鹿は何も言わずに頷いた。別に引き止める理由はないし、家の用事だということなら尚更だ。いい事は言えないが、今はおくりだす外方法がない。
「いってこい」
「はいっ。あ、僕、また此処に来ますから。それじゃ、また明日っ」
また明日、入鹿の耳に酷くこびりついた。高くて可愛らしい鶯のような声に入鹿は一晩中酔いしれることになる。清架が立ち去ると、入鹿は鼻の下を伸ばし、思わず「ひゃっほーっ」といいながら階段を駆け下がっていく。はたから見れば変人だ。身内や知人もこの姿を見ると若干引くであろう。だが、今の彼には止まると言うことを知らない。彼は生徒会室へ向かっていた。
久しぶりの生徒会室に心が高鳴ったが、先程の少女との出会いとは比較できないと言う風に躊躇いもなく扉を開けた。すると、真面目に仕事に取り組んでいるいつもの二人がいた。だが、太子は頬に氷をあてており、妹子は膨れっ面で不機嫌そうだ。入鹿は扉を閉めたかったが、こんなに派手に開けたらもう取り返しはつかない。挨拶をしようとする二人を遮るように入鹿は声を荒げた。
「オレ、恋したかもしれないっ!」
「えーっ? いきなりぃ?」
太子と妹子がハモる。
だが、入鹿は気にしないようににんまりと微笑んだ。
切れ長で長い瞳に鋭い眼差し。ただ眉を顰めるだけで厳つい彼の女子からの人気は全く無い。好きな人は出来た事はあるが、振られに振られ、十八年間も彼女がいないことが発覚した。絶望や憤り通り越して完全に諦めてしまった。そんな春先のことであった。
行き成り強風が吹いたかと思うと直ぐにやんでしまった。なんだろうと辺りを見渡ても何も無い。ただ、桜の花弁が虚しく隣にひとつ来ただけだ。入鹿はちぇっと舌打ちをしそのまま眠りに陥ろうとした。すると、痛みが腹部に生じる。
「いってぇー!」
じんわりと痛む腹部を押さえる。今、彼は憤りを感じている。女子供だろうが叩きのめすつもりだった。いつも以上に鋭い目つきをし、倒れている人間を見つめる。恐らく、寝ている入鹿に足があたってこけてしまったのだろう。一見、男のように見えた。というのも、男子の制服を着ていたからであった。だが、起き上がると可愛らしい顔立ちであった。しかも、瞳には涙を溜めている。一気に入鹿の心拍数は上昇した。性は判らないが、声と顔からして男装をしている女性だろうと勘付く。
「すみません、すみませんっ。あた……僕、ぼーっとしていて……」
やはりそうだった。あたしといおうとした口を噤み、誤魔化し笑いを浮かべたかと思うとまた泣きそうな顔をする。入鹿は意味も無く立ち上がり首をぶんぶんと横に振った。唇が震えて声がまともに出ないのか身振り手振りだけになってしまう。しかし、少女は納得したようでまだ涙目だがにんまりと笑った。
「僕の名前は清架といいます。貴女の名前を教えてはくれませんか?」
「オレの名前は……えと、なんだったけ。えとー……そ、蘇我入鹿だっ」
体験したことのない緊張感に入鹿は挙動不審になった。だがしかし、清架は心の其処から微笑んだ。憂いや憐れみの感情なんて彼女には無かった。ただ、入鹿の不思議な言動に微笑んでいた。
握手を交わすと清架は思い出したように「あっ」と声を張り上げた。一つに結んでいる髪の毛が優雅に揺れる。すると、また泣き出しそうな顔で入鹿を上目遣いに見つめた。
「あの……。蘇我さん。僕、用事があって、帰らなきゃいけないんです」
何故、そんなことを泣きそうな顔をして自分に対して言うのだと不信感を抱いたが入鹿は何も言わずに頷いた。別に引き止める理由はないし、家の用事だということなら尚更だ。いい事は言えないが、今はおくりだす外方法がない。
「いってこい」
「はいっ。あ、僕、また此処に来ますから。それじゃ、また明日っ」
また明日、入鹿の耳に酷くこびりついた。高くて可愛らしい鶯のような声に入鹿は一晩中酔いしれることになる。清架が立ち去ると、入鹿は鼻の下を伸ばし、思わず「ひゃっほーっ」といいながら階段を駆け下がっていく。はたから見れば変人だ。身内や知人もこの姿を見ると若干引くであろう。だが、今の彼には止まると言うことを知らない。彼は生徒会室へ向かっていた。
久しぶりの生徒会室に心が高鳴ったが、先程の少女との出会いとは比較できないと言う風に躊躇いもなく扉を開けた。すると、真面目に仕事に取り組んでいるいつもの二人がいた。だが、太子は頬に氷をあてており、妹子は膨れっ面で不機嫌そうだ。入鹿は扉を閉めたかったが、こんなに派手に開けたらもう取り返しはつかない。挨拶をしようとする二人を遮るように入鹿は声を荒げた。
「オレ、恋したかもしれないっ!」
「えーっ? いきなりぃ?」
太子と妹子がハモる。
だが、入鹿は気にしないようににんまりと微笑んだ。
蘇我入鹿、十八年間の中で今一番、恋に輝いてます。
忘却ノ彼方 序章
気がつくと私は見知らぬ書斎のようなところに寝転んでいた。頭には靄がかかっており、頭痛がする。今にも戻してしまいそうになったが情けないのでそのまま汚物を飲み込むことにする。苦味が口内に広がるが致し方ないことだ。
ゆっくりと重たい体を起こすと、これまでの経緯を思い出そうとする。しかし、其れを頭が拒む。またもや戻しそうになりその場に蹲った。もう一度飲み込むと私は立ち上がり歩き出した。
自分の名さえ思い出せない。言語さえままならないかもしれない。人影らしきものが見当たらないので何かを確かめる術は決して見当たらない。あるのは限りない本棚と限りない真っ赤な本だけ。気が狂ってしまいそうなほどの同じような景色に私はうんざりした。
「あー! もう、私は摂政で偉いのに」
意味の分からない独り言を叫ぶ。本当に私はどうにかしてしまったのだろうか。水色のジャージを着用しているところで突っ込むべきところなのだろうか。服の裾を掴みながら近くにあったベンチへしゃがみ込む。足はもうつかれきっている。何時間歩いて叫んだのか判らない。
深い溜め息をつく。若しかしたら、本当に気が狂うまで歩きまわされるかもしれないのだ。ふうっと深い溜め息をつく。このまま衣食もせずにしに至ってしまうのかと思うと淋しくて情けなくて仕方が無くなる。なので、私は最後の力を振り絞って歩き出すことにした。
「何も無かったら……」
嗚呼、私は何を言いたかったのだろう。何者かの顔が脳裏にチラつく。だが、ぼけており目を細めても誰だか認識できない。知っているようで知らない。もどかしくて仕方が無い。
「ムギーっ」と思わず叫んでしまった。もう恥じらいなんてものは無く普段通りに私に戻ってしまったような気がした。通常の自分、なんてものとっくに何処かへ置き去りにしてしまった。私は立ち止まり目を瞑る。真っ暗闇の中に映る一つの耀き。私は其れを掴むようにそっと手を差し伸べた。すると、何かを掴んだような気がした。堅い……。目を開けると予想通りのものが手に収まっていた。私はそのまま投げ捨てようとしたが、答えが其処にあるような気がしていつの間にか開いてしまっていた。
「……ぷはっ。あ……」
可愛らしい妖精なのだろうか。中からおかしなものが出てきた。茶色の短い髪に整った顔立ち。服装はノースリーブの赤いワンピースの下に赤いジャージを履いている。掌サイズでとても小さく正に妖精と言った感じだが透明の羽根はついていない。
どこかで見たような気がしたが気のせいだろう。私は思わず掌に乗せてしまった。すると、妖精は恥ずかしそうに顔を赤く染め一礼をした。
「初めまして。信じ難きことかと思いますが、妖精の妹子と申します。貴女……太子の記憶を取り戻すためにこの本から出てまいりました。どうぞ宜しくお願いします……って、太子聞いてますか?」
何処かで聞いたことのある無機質な声。何故だか温かく懐かしく思わず身震いをしてしまうほど気味が悪かった。私は其れを隠すために違う手で鼻を穿っていた。すると、妖精の妹子は気に食わなかったらしく怒りを露にしている。小さな拳をわなわなと震わせている。
「あー。うん。てか、ぶっちゃけ私の記憶って何?」
「言いますからこの汚い手で僕を乗せるのはやめてもらいませんか?」
「なんだとっ。私がカレー臭いというのか? またお前は……ってえ?」
妹子はにやりと笑いそのまま言葉を続けた。
「一つ目の記憶、思い出しましたね」
何個あるというのだろう。気が遠くなるほどあるのだろうか。けれど、少しだけ脳裏に浮かんだ女性の姿は形づいてきたような気がする。
……不名誉だが、一つ目の記憶。私がカレー臭いことと名が聖徳太子。つまり、厩戸皇子だということは思い出した。
「太子の記憶、僕が必ず思い出させますからね」
神々しい笑顔に私はついつい抱き締めたくなったが、ぐっと堪える。
「な、なあ妹子」
「何でしょうか?」
「私達、どこいくの?」
「旅ですよ。何言ってるんですか。ほら、行きますよっ」
もう、どうにでもなれっ!
つづくらしい。
ゆっくりと重たい体を起こすと、これまでの経緯を思い出そうとする。しかし、其れを頭が拒む。またもや戻しそうになりその場に蹲った。もう一度飲み込むと私は立ち上がり歩き出した。
自分の名さえ思い出せない。言語さえままならないかもしれない。人影らしきものが見当たらないので何かを確かめる術は決して見当たらない。あるのは限りない本棚と限りない真っ赤な本だけ。気が狂ってしまいそうなほどの同じような景色に私はうんざりした。
「あー! もう、私は摂政で偉いのに」
意味の分からない独り言を叫ぶ。本当に私はどうにかしてしまったのだろうか。水色のジャージを着用しているところで突っ込むべきところなのだろうか。服の裾を掴みながら近くにあったベンチへしゃがみ込む。足はもうつかれきっている。何時間歩いて叫んだのか判らない。
深い溜め息をつく。若しかしたら、本当に気が狂うまで歩きまわされるかもしれないのだ。ふうっと深い溜め息をつく。このまま衣食もせずにしに至ってしまうのかと思うと淋しくて情けなくて仕方が無くなる。なので、私は最後の力を振り絞って歩き出すことにした。
「何も無かったら……」
嗚呼、私は何を言いたかったのだろう。何者かの顔が脳裏にチラつく。だが、ぼけており目を細めても誰だか認識できない。知っているようで知らない。もどかしくて仕方が無い。
「ムギーっ」と思わず叫んでしまった。もう恥じらいなんてものは無く普段通りに私に戻ってしまったような気がした。通常の自分、なんてものとっくに何処かへ置き去りにしてしまった。私は立ち止まり目を瞑る。真っ暗闇の中に映る一つの耀き。私は其れを掴むようにそっと手を差し伸べた。すると、何かを掴んだような気がした。堅い……。目を開けると予想通りのものが手に収まっていた。私はそのまま投げ捨てようとしたが、答えが其処にあるような気がしていつの間にか開いてしまっていた。
「……ぷはっ。あ……」
可愛らしい妖精なのだろうか。中からおかしなものが出てきた。茶色の短い髪に整った顔立ち。服装はノースリーブの赤いワンピースの下に赤いジャージを履いている。掌サイズでとても小さく正に妖精と言った感じだが透明の羽根はついていない。
どこかで見たような気がしたが気のせいだろう。私は思わず掌に乗せてしまった。すると、妖精は恥ずかしそうに顔を赤く染め一礼をした。
「初めまして。信じ難きことかと思いますが、妖精の妹子と申します。貴女……太子の記憶を取り戻すためにこの本から出てまいりました。どうぞ宜しくお願いします……って、太子聞いてますか?」
何処かで聞いたことのある無機質な声。何故だか温かく懐かしく思わず身震いをしてしまうほど気味が悪かった。私は其れを隠すために違う手で鼻を穿っていた。すると、妖精の妹子は気に食わなかったらしく怒りを露にしている。小さな拳をわなわなと震わせている。
「あー。うん。てか、ぶっちゃけ私の記憶って何?」
「言いますからこの汚い手で僕を乗せるのはやめてもらいませんか?」
「なんだとっ。私がカレー臭いというのか? またお前は……ってえ?」
妹子はにやりと笑いそのまま言葉を続けた。
「一つ目の記憶、思い出しましたね」
何個あるというのだろう。気が遠くなるほどあるのだろうか。けれど、少しだけ脳裏に浮かんだ女性の姿は形づいてきたような気がする。
……不名誉だが、一つ目の記憶。私がカレー臭いことと名が聖徳太子。つまり、厩戸皇子だということは思い出した。
「太子の記憶、僕が必ず思い出させますからね」
神々しい笑顔に私はついつい抱き締めたくなったが、ぐっと堪える。
「な、なあ妹子」
「何でしょうか?」
「私達、どこいくの?」
「旅ですよ。何言ってるんですか。ほら、行きますよっ」
もう、どうにでもなれっ!
つづくらしい。
日和高等学園【設定】
※女体化
DV
同性愛
擬人化
ヤンデレ
二次創作
などが
嫌いか反対だと言う方は
閲覧をご遠慮下さい。
設定
聖徳太子 (♂) 3年生
生徒会会長。犬と妹子が大好き。
サボり魔だがやるときはやる人。優しくお人よしだが、独占欲が強い。
弱弱しく振舞っている。だがしかし、服を脱ぐとバリバリの筋肉だったりもする。
黙っていると格好いいが、カレー臭いのと煩いのとでもてない。
謎が謎を呼ぶおかしな人。
妹子と付き合ってから彼女に暴力をあげるようになった。
小野妹子 (♀) 2年生
生徒会書記。優しい太子に中学時代憬れていたため、この学園に入ることを決意した。僕っこ。貧乳。だが、小柄で華奢。
両親は共に他界し、今は寮生活を送っている。
だらしないサキと生活を共にしているので、家事全般が大の得意。
毒舌家で彼女はつっこみたくないのに、必然的にその役割に回っている。
太子と違いモテモテなのでラブレターは一日に五十通は貰っている。
熱烈なファンが多くいつもストーカー被害にあわされてたりする。
太子と付き合ってから徐々に病み始める。
川合曽良 (♂) 2年生
占術部(形だけの)部長。妹子と同じクラスで隣の席。
教師である芭蕉に罵倒を浴びせたりする、極度のサディスト。
妹子のことが大好きでいつも芭蕉に相談に乗ってもらう。
無口なので何を考えているか一切分からない。
だがしかし、その脳内の大半は妹子と芭蕉で占めている。
クーデレ。ツンデレも兼ね揃えていたりする。
女子にモテモテだが、本人は理解していないよう。疎いところもある(らしい)(芭蕉曰く)
松尾芭蕉 (♂) 国語教員
教師の癖に生徒に虐められている(特に曽良)。
手にはいつもマーフィー君という人形と筆を持っている。
国語の教師だが詩や俳句を作るのが下手。
占術部の顧問を務めているがどうせ曽良に虐められるからという理由でいつも欠席している。
妹子と曽良の担任でもある。
調子に乗りすぎると直ぐに「断罪チョップ」が飛んでくる。全身が痣だらけ。
うざい中年オッサンだ、と罵られている。
うさみちゃん (♀) 1年生
学園内一の名探偵。数々の難事件をいとも簡単に解き明かしてしまう。いわば天才。
幼馴染であるクマ吉のことが大好き。
サディスト&ツンデレで勝負したら曽良と互角であろう。
生徒会の座を狙っており、生徒会役員の名は全て暗記しているほど。
太子のことを尊敬していたが(中学校でも生徒会長を勤めていたため)、とある件を境に軽蔑の目で見るようになった。
静かなところや人が好きで煩い人(クマ吉以外)は大嫌い。
鈍感でニャン美の気持ちには気づいていないらしい。
かなりの美少女で妹子とニャン美に次ぐほど、ラブレターを貰っている。「彼氏などは興味ない」と言い張っている。
クマ吉くん (♂) 1年生
露出魔であったり覗き魔であったりする。
いつもうさみちゃんに虐められている。しかし、彼もマゾヒストではないので、形勢逆転することも。
ニャン美ちゃんをストーカーしていたりするのは決して好意ではなくただの観察。好意を寄せているように演技しているが、実はうさみちゃんの無事を祈ってのこと。
うさみちゃんの気持ちには気づいてるらしいが、プレイボーイなので一人の女性には絞れないと言う。
「変態と言う名の紳士だよ!」や「まいったねどうも」というのが口癖。
かっこいいが、変態なのでもてない。太子と同じ原理。
ニャン美ちゃん (♀) 1年生
極度のレズビアン。うさみちゃんのことを死ぬほど愛している。
大人しく控えめな性格だが腹黒でこの子こそが真の変態である。
罪を犯すクマ吉くんを庇ったりしているが実はクマ吉くんのことが大嫌い。
特等席はうさみちゃんの右腕。いつもがっしりとしがみついて離れない。
小学校1年生の頃からモテ期突入していて、数々のラブレターを貰っている。がしかし、読む前に破り燃やしてしまう。
惨忍で裏表が激しい。
うさみに纏わりつく悪い虫(クマ吉くん、入鹿)は即刻排除しようと毎日目論んでいるほど。
恐らく一番病んでいるお方。自分のものにならないのなら捨ててしまえ、という考えの持ち主。
蘇我入鹿 (♂) 3年生
何をやってもすぐ失敗するヘタレ。ていうか、何も出来ない。
一応生徒会役員。生徒会室では自分の居場所がないと思い込んでいるため、いつもサボりにサボりまくっている。
ベストプレイスは屋上。少しだけロマンチストなところがあるため、そこで眺める夕陽が大好き。
ロリコンだったりする。うさみのことが好きになってしまったらしい。
手紙を書く主義ではないのだが、うさみのためならなんやその。
つまり、不良だった彼がまた優等生?になる切欠をつくってくれたのは彼女なのである。
ニャン美に目をつけられてから以降、災難が沢山降りかかってくる。
太子の親友でもあり信頼できる存在(らしい)
牛山サキ (♀) 2年生
とある事件を境にスカウトされアイドルとなる子。だが、売れない。
騙され易い。可愛いが言動がアレなのでもてない。恐らく一番可哀想なめにあっている。
妹子の無二の親友で寮室が同じだったりする。
両親は肉屋その後弁当屋を経営していたが失敗。
一生懸命で一途なため、仕送りを両親に送っていたりする。
アルバイトやら色々やっているので目の下にはクマができている。
ポジティヴ思考を無理矢理しているが、時たまネガティヴになることも。
趣味は詩を作ることと曽良のストーカー基おっかけをすること。
基本的にはいい子で友達思い。
閻魔大王 (♂) 3年生
生徒会副会長。
鈍感なようだが実は敏感で周囲の変化にはすぐ気づく人。
仕事するのが嫌いでいつも女の子の背中を追っている。
その度にいつも鬼男くんから酷い仕打ちをされる。
太子の多い親友の一人。
妹子と付き合い始めてからの太子の変化に誰よりも早く気づいた。
其れからというもの、生徒会室に毎日顔を出すようになる。
格好いい部分もあるが大半は情けない。
鬼男 (♂) 2年生
閻魔のツッコミ役担当。生徒会役員。
妹子とは幼馴染で親しい間柄。
極度に妹子のことが好きであり、最初は太子を恨んでいた。
が、楽しそうに話す彼女を見ると幸せに微笑む自分もいて、少しだけは納得しているようである。
毒舌家で口癖は「クソ大王!」。
不甲斐ない閻魔にいつも世話を掛けられている、可哀想な人。
フィッシュ竹中 (♂) 養護教員
太子とは昔からのクサレ縁でいつも悩み相談を受けている。
頼りがいがあり、生徒からの信頼は厚い。
だが、後頭部がすぐに乾いてしまうので池にすぐ帰ってしまう。
夏は湿度が高いので加湿器を置いているだけで済む。
落ち着いており大人の雰囲気が存分に醸し出されている。
推定年齢、二十五歳くらい。
本山素子 (♀) 1年生
とことん影が薄い。
病弱なので保健室に毎日通っている。
優しい竹中に惚れていたりもする。
気がついたら其処にいる。そんな存在。
阿部 (♂) 社会教員
怪談話が大嫌いな熱血で暑苦しい先生。
生徒から面白がられてる。
式紙を召還できるがリーマンやニャンコさんなど不思議な生物しか召還できない。
ふざけている輩は赦さないという性格。
登場回数は皆無に等しい。
ヒュースケン (♂) 転校生
妹子と幼馴染。
妹子と昔なにかあったらしい。
一学期の途中まで、妹子と文通をしていた。
連絡が突然途切れたので不安になり上京してきた。
以上だったり。
男の比率が多いのはしょうがない。
……たぶん、主は太子・妹子・曽良・芭蕉・うさみ・クマ吉・ニャン美・ヒュースケンくらいだし。
キーパーソンはニャン美ちゃんだったり。
阿部先生はほんっと出てこない(笑)。
素子ちゃんとかも。
今、四話まで執筆中。
相当大変なことになってる……。
キャラ崩壊だね☆