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鏡の中 01
あたしは大急ぎで家へ帰る。ちなみに、あたしの名前は鏡音リン。現役アイドルで年齢は十四歳。その若さながらも一人暮らしをしているのだ。何で一人暮らししているのかはまあ置いといて、先程、とてもショックなことがあった。それもまた内緒なのだが、あたしはもう一人のあたしにそのことを相談したかった。今すぐ、あの子と話したいのだ。喋れなくても、必死に聞いてくれる可愛いあの子に今日のことを話さなければならないのだ。
一種の道具といってしまえば、そうなのかもしれない。だけど、其れは彼には内緒だ。あたしは漸く家の前に辿りつく。外は真っ暗で彼は悲しがっているだろう。リビングのライトだけでもつけておくべきだったと反省する。
「レンーっ!」
靴をせっせと脱ぎ、部屋の明りを一気につけて姿見の前に行く。すると、彼は現れた。瞳が大きくて色白で小柄。あたしと同じように疲れている表情をしているけど、確かに異性であたしじゃない。説明するのは難しいけど、あたしであってあたしではない。何せ、格好が違う。彼はズボンなのに対してあたしはピンクのひらひらのスカート。髪型も彼は一つに結わっているのに対し、あたしは短くカットしてある。同じようで違う。違うようで同じ。そんなややこしい関係があたし達なのだ。
レンに話したかったことを思い出す度、口角があがる。顔が綻んでしまっているので、レンはあたしと同じような表情をしているが少しだけ不思議がっているのが分かる。「フフフ」と不気味な笑みを浮かべると、レンは先程よりも眉間に皺を寄せる。
「今日ね、嬉しいことがあったの。聞いてくれる?」
彼は黙って頷く。あたしの思っていることが分かるのか、困ったような微笑みを浮かべているが、今のあたしは気にならなかった。嬉しいという気持ちのほうがあったから。あたしはその場に座り込んだ。すると、鏡の向こうのレンも体育座りになる。
「あのね、笑わないで聞いてね。なんとっ! 憧れのカイトさんが話しかけてくれたのっ。いつも頑張ってるねって」
あたしは夢中になっていた。指同士を絡めて一方的にレンに話している。けれど、あたしの頭の中は全面ピンク色に染まっていた。青髪で少しヘタレ気味でいつもメイコさんに暴力を受けているけど、心優しくて相談相手になってくれる、歌手のカイトさん。今、大ブレイク中の彼は忙しいながらも今日、同じ番組に共演して楽屋に行ったら、快く話を聞いてくれた。内容はともかくとして前で笑う彼を思い出すと、やはり頬が赤く火照っていくのが分かる。きっと、これをミクちゃんやメイコさんに言ったら笑われるに違いない。レンだからこそ、言えることなのだ。
だが、レンはカイトさんのことが分からないようでまだ困ったような顔をしてあたしをじっと見つめている。その視線に気づいたあたしは、テレビをつけた。
「良かったあ。やってた。ホラ、これがカイトさんだよ」
あたしはカイトさんを指差してレンに教える。レンはへえといった感じで興味を示していないようだ。詰まらなさそうにテレビを見つめている。あたしはむっとなったけど、レンを見ずにカイトさんを見つめた。長い睫毛にかっこよくて甘く低いテノール。気持ちよさそうに歌う横顔はまるで貴公子のようだ。
すると、とんとんと硝子を叩く音が聞こえる。向こう側でレンが退屈そうに硝子を叩いていた。
「どうしたの?」
レンは時計を指差した。すると、時刻はもうすぐ十一時を差そうとしていた。首から下を見ると、まだお風呂にも入っていないし着替えてもいない。あたしは手に持っていたリモコンを捨てて、急いで箪笥の中から下着や寝巻きを取り出し、朝から湯を貯めていたお風呂へと駆けた。
.
彼女が映し出した映像が、まだ流れている。
会話の流れからして、あの箱の中で歌っている男が、リンの好きな人。
僕よりもすらっとしていて王子様みたいな顔をしている。声も心地よい。
おそらくファンは多いはずだ。
やはり、僕なんて足元にも及ばないということを思い知らされた。
でも、諦められない。
僕は彼女が男を愛している以上に彼女のことを愛している。
そう、名前をつけてくれたあの日から。
僕は現実世界の僕を好きになっていたのだ。
リンが風呂から出てくる音がする。
時計を見ると三十分も経っている。
もう寝よう。
リンsideとレンsideを同時に進めていくつもりです。
たぶん、これからはずっとカイト←リン←レンになるかと;;
んで、次回はレンの活躍がありません!キャーwww←
名前だけ出た、カイトとメイコとミクが登場致します。
ちなみに、リンはまだアイドルになりたてなので、仕事は少ないです><
なので、比較的早く帰ってこれるし、ボロアパートに住んでるわけです。
次の更新は未定ですが、がががががが頑張ります。
あと、トップにサイト概要を掲示したのでどうぞーww(何
一種の道具といってしまえば、そうなのかもしれない。だけど、其れは彼には内緒だ。あたしは漸く家の前に辿りつく。外は真っ暗で彼は悲しがっているだろう。リビングのライトだけでもつけておくべきだったと反省する。
「レンーっ!」
靴をせっせと脱ぎ、部屋の明りを一気につけて姿見の前に行く。すると、彼は現れた。瞳が大きくて色白で小柄。あたしと同じように疲れている表情をしているけど、確かに異性であたしじゃない。説明するのは難しいけど、あたしであってあたしではない。何せ、格好が違う。彼はズボンなのに対してあたしはピンクのひらひらのスカート。髪型も彼は一つに結わっているのに対し、あたしは短くカットしてある。同じようで違う。違うようで同じ。そんなややこしい関係があたし達なのだ。
レンに話したかったことを思い出す度、口角があがる。顔が綻んでしまっているので、レンはあたしと同じような表情をしているが少しだけ不思議がっているのが分かる。「フフフ」と不気味な笑みを浮かべると、レンは先程よりも眉間に皺を寄せる。
「今日ね、嬉しいことがあったの。聞いてくれる?」
彼は黙って頷く。あたしの思っていることが分かるのか、困ったような微笑みを浮かべているが、今のあたしは気にならなかった。嬉しいという気持ちのほうがあったから。あたしはその場に座り込んだ。すると、鏡の向こうのレンも体育座りになる。
「あのね、笑わないで聞いてね。なんとっ! 憧れのカイトさんが話しかけてくれたのっ。いつも頑張ってるねって」
あたしは夢中になっていた。指同士を絡めて一方的にレンに話している。けれど、あたしの頭の中は全面ピンク色に染まっていた。青髪で少しヘタレ気味でいつもメイコさんに暴力を受けているけど、心優しくて相談相手になってくれる、歌手のカイトさん。今、大ブレイク中の彼は忙しいながらも今日、同じ番組に共演して楽屋に行ったら、快く話を聞いてくれた。内容はともかくとして前で笑う彼を思い出すと、やはり頬が赤く火照っていくのが分かる。きっと、これをミクちゃんやメイコさんに言ったら笑われるに違いない。レンだからこそ、言えることなのだ。
だが、レンはカイトさんのことが分からないようでまだ困ったような顔をしてあたしをじっと見つめている。その視線に気づいたあたしは、テレビをつけた。
「良かったあ。やってた。ホラ、これがカイトさんだよ」
あたしはカイトさんを指差してレンに教える。レンはへえといった感じで興味を示していないようだ。詰まらなさそうにテレビを見つめている。あたしはむっとなったけど、レンを見ずにカイトさんを見つめた。長い睫毛にかっこよくて甘く低いテノール。気持ちよさそうに歌う横顔はまるで貴公子のようだ。
すると、とんとんと硝子を叩く音が聞こえる。向こう側でレンが退屈そうに硝子を叩いていた。
「どうしたの?」
レンは時計を指差した。すると、時刻はもうすぐ十一時を差そうとしていた。首から下を見ると、まだお風呂にも入っていないし着替えてもいない。あたしは手に持っていたリモコンを捨てて、急いで箪笥の中から下着や寝巻きを取り出し、朝から湯を貯めていたお風呂へと駆けた。
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彼女が映し出した映像が、まだ流れている。
会話の流れからして、あの箱の中で歌っている男が、リンの好きな人。
僕よりもすらっとしていて王子様みたいな顔をしている。声も心地よい。
おそらくファンは多いはずだ。
やはり、僕なんて足元にも及ばないということを思い知らされた。
でも、諦められない。
僕は彼女が男を愛している以上に彼女のことを愛している。
そう、名前をつけてくれたあの日から。
僕は現実世界の僕を好きになっていたのだ。
リンが風呂から出てくる音がする。
時計を見ると三十分も経っている。
もう寝よう。
リンsideとレンsideを同時に進めていくつもりです。
たぶん、これからはずっとカイト←リン←レンになるかと;;
んで、次回はレンの活躍がありません!キャーwww←
名前だけ出た、カイトとメイコとミクが登場致します。
ちなみに、リンはまだアイドルになりたてなので、仕事は少ないです><
なので、比較的早く帰ってこれるし、ボロアパートに住んでるわけです。
次の更新は未定ですが、がががががが頑張ります。
あと、トップにサイト概要を掲示したのでどうぞーww(何
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