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冷静素直(クーデレ)彼女の苦手なもの
彼女はいつも澄ましている。って、多分、彼女はすましてるとかは意識して無いだろうとは思うけど、僕から見ればとてもクールな女だ。けれど、素直でいつも「好き」とか言ってくれる。其処は嬉しいことだ。
でも、弱点や苦手物がない。お化けも平気だし虫だって普通に触ってるし、雷や自然災害だって微動だにしない。女の子特有の「きゃあっ」っていう金切り声も聞いたことがない。いつも低く恐ろしい声をしている。勿論、彼女はそんな気、更々ないのだ。自分が低い声だとか、女らしくないとか。
今日はそんな彼女の家にお邪魔している。僕達は高校生だが、同棲とかも考えていたりする。勿論、結婚を前提にお付き合いをさせてもらっている。まだ早いとか世間は言うけれど気にしない。だって、あと一年したら立派な大学生にあがれるのだから。そんな楽しい生活を思い浮かべていると、キッチンに立っていた彼女が訊ねてきた。
「今日は何時に帰る?」
じゅーじゅー、という揚げ物を揚げている音が耳に届いてくる。微かで消え入りそうな声で少ししか聞こえなかったが、僕は届くように言った。
「あー、九時くらいかな」
ソファにあったクッションを思わず抱きかかえて反応を伺った。突っ込まれるかぶん殴られるかのどっちかだと思う。それか説教を食らうか。どれにしても光景が目に浮かぶ。多分、僕はマゾヒストで殴られるのが快感になってきているのだろう。彼女が隠れサディストだから仕方の無いことなんだろうけど。
しかし、返ってきた答えは意外なものだった。
「ああ。判った。じゃあ、あと三時間もいられるな」
ひょっこと見せた笑顔。不意すぎて思わず鼻血が出てしまうそうになった。とても反則的だ。なんだ、その屈託の無い無邪気な笑顔は。今まで見せたことがなくて、僕は腰を抜かしそうにもなった。今すぐ抱きしめてやりたい。
「きゃあああああああ」
行き成り、叫び声が轟く。隣の人かと思ったが、それは違う。だって、彼女の声で「幸成ーっ」と呼ばれたからだ。僕は呆然としていたがすぐにスイッチは入った。すぐにキッチンへ出向く。すると、其処には蠢く黒色の物体。
「ごごごごごきぶりっ」
彼女は泣きそうな顔で此方を見る。僕はすぐにスリッパを脱ぎ、しとめに行った。僕だってゴキブリは苦手だし潰すのだって抵抗がある。でも、愛しい彼女を泣かす奴は絶対に許せない。靴下で踏み潰してやっても充分なほどなのである。ぐちゃり、厭な感触と音がする。スリッパをどかすと、潰れている黒色の物体。ティッシュで即座に拭き取り、ティーシャツの裾で掻いていないのに額を拭う。それが「ホラ、終わったよ」のサインだ。
「ああ、有難う」
あれ、何かまた期待と違う反応。いつものキリリとした表情に戻ってしまった。先程までは目を潤ませて一つに結わえていた灰色の長い髪を少し揺り動かしていたと言うのに。今はもう平常心になってしまっている。
「え、それだけ?」
「うん。それだけ。他に言うことはないだろう」
「……。そうですね」
包丁を持ち始めた彼女にはもう何もいえない。ただ、ゴキブリが苦手っていうことだけは心に留めておこう。他の誰かに行ったら、恐らく僕の命はないような気がする。
「幸成、スリッパ洗っておいてくれ。ゴ……臭と幸成臭がごっちゃになってしまう」
「えっ! 俺の存在価値はゴキと同等ですかあっ」
「勿論だ。ホラ、早く食え。焼肉なんて一年に一度しか出さないぞ」
「……はい」
少しだけ、冷静素直(クーデレ)彼女が笑ってくれた。そんな気がした。
fin
昨日突発的に考えたネタ1号。
智代と春原みたいな感じ。
智代はあってるけど、春原はこれまた微妙な……。
あ、口調だけあってるみたいな感じでお願いします。
クーデレはクールだけど素直な性格と取っていいですか。
うちのところのクーデレはそんな感じになっていくと思います。
ていうか、クーデレって智代でしょ、ねえ、そうでしょ(何
冷静素直でクーデレって今度から呼びます。ええ、そうします。
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