掌_
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やわらかいとげ
華は美しく棘がある方が適している。いわば、今僕の隣に座っている彼女なんて正にそうである。外見は美しいのに心の中は真っ黒で誰も信用していない。そんなところが愛らしくていつの間にか愛してしまったのだ。たとえ、君が僕のことを好きじゃなくとも僕はずっと君の事を愛し続けるよ。
大きな瞳を開けると君は僕の名前をゆったりと心地よく呼ぶ。
「エブラぁー」
彼女は昨夜、ウイスキーを飲んで倒れてしまった。
大人の付き合いしてよ、と突然言われた僕は不覚にもやましいことを考えてしまったが、彼女は大きな酒のボトルを取り出したのである。彼女は二十歳をとうに過ぎている。僕も過ぎているが酒は滅法弱く、シルクドフリークというサーカスからも禁止令を出されていた。しかし、今の彼女に対して断る権限は僕にはない。だから、弱くても儚くても何が何でも僕は飲んでみせた。すると彼女は笑顔で拍手をしている。
莫迦だ、とか罵られても彼女の笑顔が好きなのだから仕方ないじゃないか。
ずっとずっと一緒に入れたらいい。そんな願いは直ぐに吹き飛ばされてしまったけれど。
エブラ×デビーを書きたかったけど挫折した。
そんな小説です。
登場人物はエブラと謎の女性(正体:デビー)です。
このあと、エブラは他の人と結婚します。
ま、それは普通の流れで。
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