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雲行き怪しい午後の日に

二次創作main…日和、VOCALOID率高め   稀に掌アリ
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  • 03/16/04:52

鏡の中 01

 あたしは大急ぎで家へ帰る。ちなみに、あたしの名前は鏡音リン。現役アイドルで年齢は十四歳。その若さながらも一人暮らしをしているのだ。何で一人暮らししているのかはまあ置いといて、先程、とてもショックなことがあった。それもまた内緒なのだが、あたしはもう一人のあたしにそのことを相談したかった。今すぐ、あの子と話したいのだ。喋れなくても、必死に聞いてくれる可愛いあの子に今日のことを話さなければならないのだ。
 一種の道具といってしまえば、そうなのかもしれない。だけど、其れは彼には内緒だ。あたしは漸く家の前に辿りつく。外は真っ暗で彼は悲しがっているだろう。リビングのライトだけでもつけておくべきだったと反省する。

「レンーっ!」

 靴をせっせと脱ぎ、部屋の明りを一気につけて姿見の前に行く。すると、彼は現れた。瞳が大きくて色白で小柄。あたしと同じように疲れている表情をしているけど、確かに異性であたしじゃない。説明するのは難しいけど、あたしであってあたしではない。何せ、格好が違う。彼はズボンなのに対してあたしはピンクのひらひらのスカート。髪型も彼は一つに結わっているのに対し、あたしは短くカットしてある。同じようで違う。違うようで同じ。そんなややこしい関係があたし達なのだ。
 レンに話したかったことを思い出す度、口角があがる。顔が綻んでしまっているので、レンはあたしと同じような表情をしているが少しだけ不思議がっているのが分かる。「フフフ」と不気味な笑みを浮かべると、レンは先程よりも眉間に皺を寄せる。

「今日ね、嬉しいことがあったの。聞いてくれる?」

 彼は黙って頷く。あたしの思っていることが分かるのか、困ったような微笑みを浮かべているが、今のあたしは気にならなかった。嬉しいという気持ちのほうがあったから。あたしはその場に座り込んだ。すると、鏡の向こうのレンも体育座りになる。

「あのね、笑わないで聞いてね。なんとっ! 憧れのカイトさんが話しかけてくれたのっ。いつも頑張ってるねって」

 あたしは夢中になっていた。指同士を絡めて一方的にレンに話している。けれど、あたしの頭の中は全面ピンク色に染まっていた。青髪で少しヘタレ気味でいつもメイコさんに暴力を受けているけど、心優しくて相談相手になってくれる、歌手のカイトさん。今、大ブレイク中の彼は忙しいながらも今日、同じ番組に共演して楽屋に行ったら、快く話を聞いてくれた。内容はともかくとして前で笑う彼を思い出すと、やはり頬が赤く火照っていくのが分かる。きっと、これをミクちゃんやメイコさんに言ったら笑われるに違いない。レンだからこそ、言えることなのだ。
 だが、レンはカイトさんのことが分からないようでまだ困ったような顔をしてあたしをじっと見つめている。その視線に気づいたあたしは、テレビをつけた。

「良かったあ。やってた。ホラ、これがカイトさんだよ」

 あたしはカイトさんを指差してレンに教える。レンはへえといった感じで興味を示していないようだ。詰まらなさそうにテレビを見つめている。あたしはむっとなったけど、レンを見ずにカイトさんを見つめた。長い睫毛にかっこよくて甘く低いテノール。気持ちよさそうに歌う横顔はまるで貴公子のようだ。
 すると、とんとんと硝子を叩く音が聞こえる。向こう側でレンが退屈そうに硝子を叩いていた。

「どうしたの?」

 レンは時計を指差した。すると、時刻はもうすぐ十一時を差そうとしていた。首から下を見ると、まだお風呂にも入っていないし着替えてもいない。あたしは手に持っていたリモコンを捨てて、急いで箪笥の中から下着や寝巻きを取り出し、朝から湯を貯めていたお風呂へと駆けた。



 彼女が映し出した映像が、まだ流れている。
 会話の流れからして、あの箱の中で歌っている男が、リンの好きな人。
 僕よりもすらっとしていて王子様みたいな顔をしている。声も心地よい。
 おそらくファンは多いはずだ。
 やはり、僕なんて足元にも及ばないということを思い知らされた。
 でも、諦められない。
 僕は彼女が男を愛している以上に彼女のことを愛している。
 そう、名前をつけてくれたあの日から。
 僕は現実世界の僕を好きになっていたのだ。

 リンが風呂から出てくる音がする。
 時計を見ると三十分も経っている。
 もう寝よう。

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アトガキ

鏡の中 プロローグ


 君は笑った。
 鏡の中にいる僕に笑いかけた。

「あたしの名前はリン」

 天使のような微笑。
 僕も思わず顔も綻ぶ。
 彼女は僕に対して初めての満面の笑みを向けてくれた。
 すると、彼女は困ったような表情になる。
 僕も同じように俯いてしまう。
 彼女の表情を伺いたかったが、それさえも拒絶されてしまう。もどかしい。
 だが、すぐにリンはにっこりと笑って、手を差し伸べてきた。

「あなたはレン。鏡音レンだよ」

 レン、レン、レン。覚えた。僕の名前はレン。鏡音レンだ。
 そして、彼女は鏡音リン。
 一つになれたような気がした。

 でも、僕は鏡の中の住人。彼女は現実世界の住人。
 相容れない存在。触れてはいけない存在。
 僕は喋れない。彼女は喋れる。喋りかけてくれる。
 彼女が泣いていると、僕も悲しげな表情になる。
 励ましは出来ない。声をかけることも出来ない。
 僕がこうして此処にいても、彼女を見守ることしか出来ない。

「宜しくね、レン」

 頭の中に羅列した文字を振り払い、僕は彼女と同じように笑みを浮かべた。
 同じように手を差し伸べる。
 冷たい、鏡。
 僕らの間を隔てる。だけど、僕が存在するには必要すべき物。
 嗚呼、そっちに行きたい。リンに触れたい。
 鏡を打ち破れる力さえあれば、僕だって……。

「どうしたの、レン。悲しそうな顔してる」

 違う。リンが心配そうに僕を見ているから、鏡だから。

「寂しかったんだね。ずっと、あたしがいてあげるからね」

 抱きしめてくれる。
 でも、リンの温もりは感じない。
 だから、僕は聞こえないとしても歌った。彼女の頭に音楽が流れるように。

「レン、歌っているの?」

 そして、一緒に音を奏でる。
 彼女と初めてあわせた音は本当に初々しくて心地よかった。
 こうして歌えるのだから、僕は充分だ。
 彼女の耳に僕の声が届かなくても、歌声なら届くのだ。

 それが、彼女と僕の初めての出会いだった。

アトガキ

喧騒

「レンの馬鹿っ!」
「リンが悪いんだろっ」
「……もう知らないっ」

 彼女は離れていく。俺の元から、そうやっていつも、何時の日も……。

 喧嘩の原因は本当に些細なことだった。リンがバカイトにベタベタして、俺がヤキモチ妬いて「尻軽女」と呟いた途端、リンは怒った。そんなことを思い出して、絶望に打ちひしがれていると、とんと肩を押された。少しばかり憤りを感じていたし驚いたので思わず牙を剥いてしまった。

「あぁ?」
「……あたしにそんなこと言っていいと思ってんの? レン君?」

 最悪なことに、其れは酔いに酔い捲ったメイコ姉ちゃんだった。この人は時には破廉恥なこと。もしくは殴ってきたりする。酒の嫌な臭いが俺の鼻を劈く。手を振り上げられる。嗚呼、今日はビンタか。そう思って瞳を瞑ったとき、急にメイコ姉ちゃんは真剣な顔になってがっしりと俺の肩に腕を添えた。

「リンと喧嘩しちゃった?」
「……」
「其の顔は図星かあ。さっき、リン、泣いてどっか行っちゃったわよ」
「知らない。あいつがいなくても一人で何でも出来るし」

 腕を振り払い、俺はとぼとぼと歩く。けれど、メイコ姉ちゃんは諦め切れないらしくついてくる。だから女って苦手なんだ。ミクもメイコ姉ちゃんも……リンも。何を考えてるのか分からない。行き成り、笑顔になったり泣きそうになったり怒ったり。気まぐれすぎる。カイトだって困ってるはずだ。そんな女に沢山沢山、愛されて。

「レンの気持ちも分かるけど、先ずは謝ってきな。リンはレンしか頭にないの」
「え……?」
「もー言わない。この、鈍感ブラザーズめっ」

 しかし、メイコ姉ちゃんは耳元でささやいてくれた。「頑張れ」と。ふと後ろを振り返ると親指を立てウインクをしている。ふっと俺は笑うと、其の儘走り出した。
 俺自身、自分が悪いとは思っていない。リンが全て悪いと思う。けど、俺だって男だし、彼女の片割れだし、それに……。あいつのこと、好きだし。怒ってる顔も泣いてる顔も確かに可愛いけど、笑顔の方が大好きだから。
 だから、俺は謝らなきゃいけないんだ。
 すすり泣く声が聞こえる。俺たちのフォルダから聞こえてくる。恐らく、ベッドの上で泣いているのだろう。居た堪れない気持ちになったが、優しく扉を叩いた。すると、鼻声の透き通った声が聞こえてくる。

「リンは泣いてるのであとにしてくださ……」
「開けろよ。てか、開けてもいい」
「どっか行ってよ! リンのこと、どーでもいいんでしょっ」

 俺と言うことに気づいたリンは言葉に一つ一つ棘をくわえて突き放す。一瞬、怖気づきそうになったが、負けじとメイコ姉ちゃんの励ましの言葉を思い出し、言葉を続ける。

「どうでもよくない。俺、やっぱりお前がいなきゃ何も出来ないんだよ」
「……」
「だからさ、御免」
「何も分かってない!」

 声が近づいてくる。若しかしたら、いきなり扉が開いてビンタされるかもしれないし、何か投げつけられるかもしれない。でも、引き戻すことは出来なかった。だって本当に俺は、彼女がいなければ何も出来ない役立たずだし、彼女に離れることが出来ない弱虫だ。
 予想通りに扉が開く。腫れぼったい瞳をした不機嫌なリンの表情。絹糸のような金色の髪(って俺もだけど)も乱れている。これは絶対ビンタされる、そう思って目を瞑ったとき、唇にやわらかい感触を感じた。呆然と立ち尽くしているとリンが急に抱きついてきた。

「好きだよ、って言ってほしかっただけなの!」
「リン……好きだよ」

 俺も抱きしめ返す。こんなに泣きじゃくってるリンは久しぶりだ。前のマスターに捨てられたとき、二人でわんわん泣いたような気がする。それにしても、俺は精神が強くなったものだ。多分、リンがこうして隣にいてくれるからだけど。
 そして、俺の方からキスを交わす。今度は一瞬だけじゃなくてゆっくりと時間を掛けて。

.

「そいえばさ、リンちゃんとレン君って双子だよね」
「そうだね。僕とミクは兄妹だけど」
「それは言ってないけど……。あの二人ってどこまで行ってるんだろう?」
「……キス、とか」
「……お兄ちゃん……そんなわけ無いじゃーん」
「そ、そうだよねー。は、はははは」

 二人ののんきな笑い声が響く。けれども、カイトは強ち間違えではないと本能で思っていたに違いない。
 其の頃のレンは、くしゃみをしていた。

「あー、風邪引いたのか……。これからリンと一緒にレコーディングだっていうのに。ま、いつも鼻声って言われてるし。平気だろ」

 と言いつつも、体を布団で温めていたとさ。

fin

アトガキ

レンデレラ



「え、私が母親役? ちょ、全然あってないじゃない、私はもっと可憐で……」
「めーちゃんが一番ハマり役だと思うy「だまらっしゃいっ!」
「あー、お兄ちゃん、私魔法使い……って、きゃーっ!」

「ねえ、レンレン、何役だったあ?」
「……お前は」
「王子様役ー。シンデレラ役って誰なんだろー」
「……俺」
「え、レンが、シンデレラ? ちょ、笑えるっ」
「う、うるさいっ! 俺だってやりたくないんだからなっ。つか、はずかし……」


「拙者が一番……ぐすっ」




*そんなこんなで始まります。
と、ここで注意。
ボカロで演劇です。なので、かるーく女装表現ありなので注意してください。
レンリン前提のリンレンです。大臣? アカイトにでもまかせとk(氏ね

それでは、本当に始まりです。
女装が苦手、ボカロが嫌、キャラ崩壊しまくり(上記の通り)、シンデレラパロなので、ご了承ください。







 昔々、とあるお屋敷に可愛らしい女の子が住んでいました。名はレンデレラといいます。母が一人、姉が二人という家族構成です。幸せに暮らしている……感じでしたが、なんともこの三人が意地悪で、いつもお屋敷の掃除を命じられていました。何故かと申しますと、レンデレラはどの真珠よりも美しかったからで御座います。そして、今日も母君に掃除を命じられました。そう、大変広い姉妹達の部屋と母の部屋です。

「レンデレラ! 今日はここを掃除しなさいっ」

 断れないレンデレラは、引きつり笑いをしながら「ええ。わかりました、お母様」とわざとらしく言い放ちました。灰色の質素なワンピースに、白いエプロン。まるで其れはメイドのような風貌です。金色の絹糸のような髪も一つに束ねており、清潔感溢れております。黙っていれば可愛いのですが、性格は百八十度もひん曲がっておりますので、いつかあの三人に仕返ししてやろうと目論んでいます。
 仕方が無いのでしょうがなくたらたらと掃除をしていると急に赤い髪の母がずかずかと入り込んできて、さっと近くの棚を指でふき取りました。埃ひとつ残っていないのですが、気に食わないのか母は彼女を怒鳴り散らしました。

「なに、この手抜きさっ。ていうか、なんでそんなふてくされてるのよ、ええ?」
「あー、すみません、お母様。すぐに掃除しなおしますわ。ほっほっほ」

 適当な棒読み加減に隣でひっそりと佇んでいる、奇妙な化粧をしている青い髪をした体格の良い姉は少しだけ噴出してしまいました。すると、母の怒りの矛先はレンデレラはなく、その姉に向きました。

「ちょっと、カイト……じゃなくて、カイコっ! 何をくすくすと笑っているの?」

 その迫力満点の顔にカイト……じゃなくてカイコは身を震わせ、「何でもありません」と震えながら言いました。さすが、血の繋がった親子です。母はそこで見逃す、はずなのですが、そんなことこんな暴力的な母に出来るわけがありません。先程よりも怒鳴り散らし理不尽なことを言い始めます。いつもの病気みたいなものなので、レンデレラは呆然としている紫色の髪を一つに束ねている姉に話しかけます。

「毎日大変ですね。お姉さま方」
「そうで……じゃなくて、そうですわ。ほっほっほ」

 慣れない引きつり笑いに、がくこはレンデレラよりも棒読みになってしまいます。くすくすとレンデレラが笑っているとついに母は正気に戻ったらしく、また怒りの矛先はレンデレラに向きました。カイコは勿論、半死に状態で結構ヤバめな状態というのは気にしない方向で。

「今日はお城で舞踏会なの。今から行くから、お留守番宜しく頼むわよ、レンデレラっ! さあ、行くわよ」

 カイコは引きずられながら、がくこはレンデレラのほうを見ながらとぼとぼと。しかし、彼女は気にしていない様子で静かに手を振りました。扉が重くがしゃん、と閉じられるとレンデレラは早速箒を両手に頑張ります。
 舞踏会、といったら王子様の妃を決める大事な儀式ともなります。レンデレラはなぜか、その王子様の顔を知っておりました。向日葵のような無邪気な笑顔、無垢で何も知らないようなぱっちりとした瞳。誰にも負けないような魅力を持っている男の子。思い出すのは、王子様の笑顔ばかりです。レンデレラはいつの間にか、窓の方に身を寄せていました。聳え立つ白いお城はまるで王子様を連想させるような、元気でパワフルな雰囲気を醸し出しています。

「はあ……王子とやらに会いたい……」
「そ、その願いしかと聞きましたよ、レン君……じゃなくて、レンデレラっ」

 おどおどした震えた声。恐らく、緊張しているのでしょう。現れた魔法使いは不気味と言うよりも可愛らしく、なぜか頬を真っ赤に染め上げていました。しかも、杖は葱という不思議仕様で、レンデレラは少しだけ不安を覚えました。魔法使いミクというアニメが作られそうな勢いです。

「えと、貴方は綺麗になって、行きたいのですね。舞踏会に」
「声が震えてますよ、魔法使いサン」
「す、すみませ……。は、早く帰りたいので、鼠とカボチャとその他もろもろ持ってきてください、お願いします……」
「はいはい」

 今にも泣きそうな魔法使いの言うとおりにしました。言われたとおりに、色々な野菜や動物を手づかみで持ってきました。中には汚らしいものもあり、魔法使いはあたふたしながら「き、汚いよっ」と言います。しかし、レンデレラは落ち着いた様子で「大丈夫ですよ、てか、あんたがもってこいって言っただろ」と途中から汚い言葉遣いになっています。また、泣きそうになった魔法使いにレンデレラはもう一度優しく接しました。

「それじゃ、魔法お願い致します」
「は、はい。泣いたらダメ、泣いたらお兄ちゃんに笑われちゃう。うん、大丈夫っ。それでは、びびでばびでぶーっ」

 綺麗なハーモニーを奏でながら呪文をかけていきます。流石、歌姫といったところでしょう。レンデレラは身も心も清らかになっていくような感じがしました。気づいたら、外にでており衣装は豪華なドレスになっていました。カボチャの馬車も、何もかも全て忠実に再現されています。成功、その二文字が魔法使いの頭に過ぎりました。

「よかった……それでは、楽しい一夜を」
「ミク……意味を知っていってるのかああああっ!」

 ため息をついた途端、馬車は急激に走り出しました。魔法使いの綺麗な叫び声が夜の闇に木霊します。

「十二時になったら魔法解けるんで、それまでに帰ってきてくださいねーっ。それで、硝子の靴を落とすの忘れずに」

 消えたかと思うと、お城はもう目の前で急にカボチャの馬車は止まりました。今にも戻しそうな勢いで髪のセットも少しだけ乱れましたが、それ程変わっていないのでレンデレラは着慣れていないドレスの裾を持ちながら階段を一段一段、あがっていきます。純白の階段をあがっていく度、心拍数もあがっていきます。運動をしているのもありますが、全ては王子様の美貌のせい、らしいです。



「あー、早く始まらないの? ね、大臣、大臣。暇だよ、暇」
「もう少しです……あ、集まったらしいですね。今夜こそ決めてくださいよ、妃を」
「判ってるって。どーんと任しておいてよ」
「心配だ……」
「ああ? なんか言った?」
「いえ、何でも。それでは、王子のおなーりいいいいい」



 周りの視線は一気にレンデレラに向けられています。王子様が現れた途端、レンデレラが姿を現したのもありますが、一番がその美貌です。息を荒げ、扉を開けたレンデレラに王子様は釘つげになってしまいました。レンデレラは、恐る恐る顔をあげました。すると、王子様と視線がばっちりとあいました。頬が高潮していくのがわかります。視線をはずしきょろきょろと周りを見渡すと、母と姉の姿があります。母は見蕩れているようで、フォークを落としています。姉二人さえも、レンデレラとは気づいていないでしょう。そして、周りにいる者達も。
 王子様はつかつかと引き寄せられるかのように、挙動不審なレンデレラに近づいていきます。レンデレラが気づいたのは、王子様が跪いて掌に口付けをしている最中でした。

「美しい……。私と一緒に踊ってくれませんか?」

 自分と同じような背丈に、体格。顔もまるで重ね合わせたよう。しかし、レンデレラは今までに見せたことの無いような笑顔で、「はい」と呟きました。すると、軽快なワルツが流れ出しました。何処かで聞いたようなメロディーに、レンデレラは歌が頭の中に流れます。周りで見蕩れていた者達も、次々と踊り始めます。嫉妬をしてハンカチを加えている者も少人数になってきた頃のことです。

「お名前を教えて頂けませんか?」

 王子様の突然の問いにレンデレラは困惑しました。口を開こうとすると、十一時三十分の鐘が王宮全体に流れます。綺麗なメロディーに酔いしれていましたが、一分経過したあと、レンデレラははっとしました。
 --十二時になったら魔法解けるんで、それまでに帰ってきてくださいねーっ。それで、硝子の靴を落とすの忘れずに
 無責任な魔法使いの笑顔と声が脳内でリピートされます。うげという悲鳴をあげて、レンデレラは即座に出口へと走り出しました。王子様は驚きましたが、その後を必死に追いかけます。

「ど、どうしたのですっ」
「御免なさい、魔法は解けてしまうのです、だから……お別れです」

 レンデレラは無理やり笑みを浮かべると、故意に硝子の靴を落としました。それは魔法使いの忠告だからです。賢く冷静なレンデレラは判っておりました。硝子の靴を落とすと言うのは、王子様に自分の後を追ってくれといっているようなもの。鈍感な者でも、大臣に命を下します。「この靴にあう淑女を探してくれ」と……。
 王子様は落とした靴を拾い上げ、大きな声で「落ちましたよー」と叫びました。しかし、もうレンデレラは魔法が解けてしまった後です。引き戻すことなんて出来ません。面白いのでレンデレラは、このまま話が聞こえる位置で潜んでいることにしました。すると、計画通り大臣が後を追ってきています。

「王子……その靴は?」
「……さあ。誰かが落としたんだよ。きっと。あ、そだ。探して欲しい人がいるんだよ」
「誰で御座いましょうか」
「レンデレラ。可愛くて、リンと一緒の顔をした、女の子だよ」



 それから、一ヶ月の歳月が経ちました。家来たちは、一軒一軒見て回りましたが、何処にもレンデレラという少女はいません。手がかりも無く途方にくれていたある日、大臣は一人のお婆さんの家に行き、一つの情報を手にしました。

「あそこの家の娘さんだよ」

 礼を言うと、すぐさま城に戻り、その家来は大臣に報告し直接王子様に申し出ることに致しました。すると、王子様はにんまりと微笑を浮かべて「それだ、それ。うん、だから、リンも連れてってよ。いいでしょ、大臣」と足をばたつかせながら言いました。威厳がないというのはこのことでしょう。大臣は仕方なく了承をしました。
 そして、家来と共にレンデレラの家を訪問しました。
 すると、でてきたのは緑の髪をした女です。王子様は首を横に振り裾を引っ張りました。その姿はまるで女の子です。

「レンデレラはいらっしゃいますでしょうか」
「レンデレラ……ですか」

 と呟くと、行き成り赤い髪の女が息を切らして出てきました。

「れ、レンデレラという娘は家には……」
「何でしょうか」

 呼ばれてとびでて、レンデレラちゃんとはこのことでしょう。まるでタイミングを見計らったかのようにレンデレラはぬくっとでてきました。

「あ、貴方掃除は……」
「お姉さまに任せておきましたわ」

 優雅に言い放つと、レンデレラはみすぼらしい姿でしたが、一気に光を放ちました。王子様もそれに気づいたのか、そそくさと近づいていきます。まるで王子様が女の子で、レンデレラが男の子のような、そんな感じです。
 暫しの間、見詰め合っていると急に王子様は耐え切れなくなったのか抱きついてきました。レンデレラはしかと抱き留めています。

「レンー。うわああああっ、もう探したんだからねぇええええ」
「御免、リン……。結婚、しようか」
「当たり前でしょおおおおおっ。もう、遅いんだからああああっ」

 行き成りの超展開に一同、呆然としております。

 太陽がさんさん降り注ぐ中、可愛らしい二人は無事に結婚いたしましたとさ。まるでそれは、昔からの兄妹かのような、そんな微笑ましい雰囲気で御座いましたとさ。


めでたし、めでたし。

舞台裏

ボカロ脳内設定


レンリン、カイミクが多し。
カイメイとかも稀に見るかも。ぶっちゃけ、雑食。
亜種もたまあに。
マスターはあんまり出てきません。よくボカロのことわからないっすから。


リン(14)

 一人称は「リン」か「あたし」
 世間知らずのお嬢様といった感じだが、お転婆で人懐っこく、好奇心旺盛。
 みーんな大好き、らしい。レンは特別。
 たまにマセたり、「悩殺バディー」とか言ったりもする。因みに、ひんぬー。
 ミクよりも天然で鈍感。後先考えずに行動しやすい。
 ボケ担当だったりする。

レン(14)
 一人称は「俺」
 リンがとても大事。以前のマスターに捨てられたので人間不信に陥っている。
 自分で勝手にリンとの世界を作ってしまっている。その為、初対面の三人に対しては反発的だった。
 今もそんなに友好的ではないが徐々に打ち解けていっている。
 ツンデレだったりヘタレだったり色々。某所では将来も心配されることも。
 兎に角、リン一筋で、リンに誰かが触れたり喋るだけでもヤキモチをやいてしまう。
 カイトがそんなに好ましくないらしく、いつも喧嘩を売ってしまう。
 素直になれないのも、また彼の長所のひとつ?
 数少ないツッコミ担当。

ミク(16)
 一人称は「私」
 いつもおどおどしている。カイト以外には優しく温厚。
 カイトに対しての態度はとても酷いもので、冷たくあしらう…?しかし、それも愛情の裏返し。
 メイコよりもカイトに愛情を注いでおり、「お兄ちゃん」として敬いながら愛している。
 家事全般が得意というよりも日課になっている。
 ほえほえとしていて、裏表が無いので殆どの人に愛される立場。勿論、策略でもなんでもない。
 リンの一二を争うほどのド天然で鈍感。
 ボケ担当?

カイト(20)
 一人称は「俺」だったり「僕」だったり。
 バカイトで有名。
 重度のシスコンで、ミクやリンに愛情をたっぷり注いでいる。勿論、レンも大事な弟としてみている。
 普段はしゃきっとしていなくて、頼りがいがなく、いつもメイコに修正されている。
 しかし、やる時はやるらしく、初対面のレンに対して叱ったこともある。
 美形なのでその外見に騙される人が多いらしい。
 ミクが本当に大好きで、いつもべたべたとしている。だが、自身は嫌われていると思っている。
 ミク>アイス>歌といった感じのダメダメ人間。
 ボケボケ。

メイコ(21)
 一人称は「あたし」か「私」
 この人もカイト以外には愛情を注いでいる。しかも、重度の酒好き。
 幼い頃は可愛くて町内???のアイドルだったらしいが、今はもう列記としたおばさんを通り越したおじさん。
 相談役のような感じで、ミクやレンの相談をいつも受けている。
 頼りがいのないカイトに対して、普段は冷たい。しかし、それは愛情の裏返しで実は大好きで仕方がない。
 特別はマスターだったりする。
 不甲斐ない輩は、女でも男でも正義の鉄拳をくわえる男らしい人。
 面倒くさがりやだったり、辛辣な言葉を吐いたりする。だが、一番このメンツの中では優しく、しっかりしている。
 お酒が入ってても入ってなくてもボケツッコミ両担当。

マスター(?)
 絶対音感の持ち主。勿論、男。
 いつも五人のことを気にかけている。
 相談役のメイコの相談も受けているほど。
 優しくて温厚。一生五人とは分かれたくないと思っている。
 本名、年齢不詳。容姿も不明である。
 リン曰く「すっごい美形☆」
 メイコに言わせて見れば「ま、普通な顔かな」


三十路の人とか、弱音な人とか、ツンデレな人とかも出したい。
あと、アカイトとか。
あ、がくっぽいど忘れてた。ま、あの人はいい。

CPとしては
・レンリン
・カイミク
・マスメイ

だったりじゃなかったり。

続きにて各キャラの呼び方と反省をば。

その他諸々

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