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雲行き怪しい午後の日に

二次創作main…日和、VOCALOID率高め   稀に掌アリ
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  • 03/16/08:25

運命(仮)

「はあ……」
 僕は庭で悠々と遊んでいる女を見てため息をつく。これが長年憧れて恋心を抱いていた相手だなんて信じたくもない。自由奔放で能天気で鈍感でお莫迦で全く才能を感じられない。しかも、小さいくせに他のところは育ちまくりで。嗚呼、これがあの聖徳太子だなんて到底信じられない。
「おい、妹子っ。一緒に四葉のクローバー探すぞっ。って、おま、何逃げようとしとるんじゃいっ!」
 黙ってれば可愛い女子なのに……。恐らく、この人は自分を女だと自覚していない。僕の前でやたらと着替えるし、僕の家にも来たがるし、無闇に抱きついてきたりする。しかも、「可愛い」だといって。冠位五位の僕に対して、少し甘えすぎだと思う。太子は摂政という高い身分で、誰からも一目置かれていて。まあ、命を狙われやすい立場でもあるのだけれど。だけど、僕なんかじゃ手に届かないくらい、光り輝いている存在なのに、なんでこんなに僕に引っ付いてくるのかが不思議でしょうがない。僕はただ、太子に選ばれた使い捨ての「遣隋使」だというのに。

「四葉のクローバー見つけたら、一緒にカレー食べるぞ」
「……それ以上食べたら本当にカレーになっちゃいますよ」
「るさいっ! とりあえず、探すぞ探すぞっ」
 断りきれないのは、僕自身も彼女に甘いから。そして、太子だから。身分も高いし僕は部下だ。上司の命令には逆らってはいけないのだ。ま、多分、断っても無理矢理やらされるとは思うけど。
 必死に探すこと四時間経った。昼食で用意していたカレーがまたしても夕食になってしまう時刻に近づいていた。僕のお腹は本当に空腹で石でもなんでもいいから口に入れたい気分になった。其れ位、お腹は鳴るし本当に憂鬱な気分だった。腹の虫が十回鳴ろうとしたとき、行き成り太子が「あっ!」と大きな声を出した。

「妹子っ! 遂に私はみつけたぞっ! 幸せになれる四葉のクローバー」

 彼女は満面の笑みを浮かべながら、其れを差し出す。太子の両頬や掌には沢山の土がついていて、すぐにでも手拭で拭いたくなった。だが、ポケットに手をいれても何も入っていないので、手で頬を摩った。太子の顔が真っ赤に染まっていく。そして、僕はその手を頭にやって撫でた。
「よかったですね」
「うんっ! これで、私の願いも……」
「願い?」
「あ、なんでもない。とりあえず、カレー食らうぞー」
「ちょ、土足であがらんでくださいっ! 小汚いっ!」
「ぬは、毒小姑妹子」
「やめてください……このアワビ」

 僕達がこんなに親しい関係になったのは少しの経緯がある。



 酷く頭がくらくらする。嗚呼、そういえば僕は鼻血を出して倒れてしまったのだ。しかも、憧れの太子の目の前で。恐らく変な人と思われてしまっただろう。しかし、彼女がいけないのだ。行き成り、何の脈絡もなく抱きついてきたんだから。僕の額には濡れタオルが乗っていた。ふかふかの布団に寝ていたので飛び上がる。これが太子が毎日寝ている布団だとしたら……いかん、また鼻血が出てしまう。すると、隣には心配そうに顔を覗き込んでいただろう物体がある。その場に震えながら蹲っている。「痛い……」と呟きながら、少々涙も浮かべているのだろう。僕は恐る恐る肩をたたいた。

「あのぉ……」
「あ、お早う。妹子。ちょっと鼻をぶつけちゃって……。もう、私ったらドジっ娘」
 拳を頭につけ「テヘ」と可愛らしい声で呟く。少し古臭い気もするが、其処は気にしない方向でいく。多分、僕が飛び上がって起きてしまった為、僕の頭がぶつかってしまったのだろう。嗚呼なんて失態をしてしまったのだろう。なので、僕は頭を下げてゆっくり丁寧に謝った。

「申し訳ございません……」
「なんで妹子が謝るの?」
 あたふたしながら、彼女は訊く。「だって」といい、僕は言葉をつなげる。
「僕が飛び上がってしまって」
「あ、関係ないよ。妹子は。ただ、私がヘマをしてしまっただけだよ」
 優しく包み込むように言葉を放つ。その言葉一つ一つがとても温かくて心も体も癒されるようだ。そして、太子は子どものような無邪気な笑みを浮かべて蓮華を取り出した。勿論、青いジャージのポケットからからだ。

「じゃーんっ、それでは、妹子にお粥を食べさせたいと思います」
「ちょ、ちょっと待ってください。それはどこから……?」
 薄汚れているので少し不信感を感じる。というか、其処から出したもので物を口に運ぶのかと考えると、気持ちが悪くなっていく。太子は「気にしない」と暢気に言いながら、鍋の中にある粥を掬う。
「ちょ、待ってください。僕はもう大丈夫ですし、それにお腹も空いていません」
「え、でも看病っていったらお粥でしょ。ほらほら口あけて、あーん」
 そんな可愛い表情をされても口を開けない。嗚呼、僕にどうしろうと言うんだ。この変人は。蓮華が僕の唇にあたった、その瞬間、僕は太子を突き飛ばしていた。勿論、不可抗力で条件反射で突き飛ばしてしまった。悪気があってやったわけじゃ全くない。

「す、すみません太子」
「んもう! 痛いじゃないか。私の繊細な硝子の心は傷つけられたぞ」
「じゃあ、それで食べさせるのは止めてください。小汚いので」
「あ、毒小姑妹子が生まれた」
「なんですか、そのネーミングセンスのなさは」
「お、お前の方がないやいっ!」
 嗚呼、なんだか楽しいかもしれない。僕がツッコミで太子がボケ。たまに、本当に極たまに僕が少し殴ったり蹴ったりすれば、調和できるかもしれない。でも、太子は本当に大切だから、大切に大事にしなくてはならない。僕が笑みを浮かべていると、太子は僕の心を代弁するように話し始めた。
「あ、若しかして私達いいコンビかもしれない。そうだ。妹子の家に遊びにいっていい?」
 前言撤回。彼女は僕の心なんて微塵も分かっていなかったわけである。



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やばい、コメディーになりそうで怖い。
続き物の第一章。
スランプなんで文法とか日本語とかぐちゃぐちゃ。やべぇっ
ま、自分が納得すればいいのだ。それでいいのだぁー。
妹子に「アワビ」と言わせたかったのと、太子に四葉のクローバーを探させたかっただけ。
第二章からは突然シリアスにな……ったらいいなぁ。
半蔵とか夕子さんも登場させたい。フラグ立たせたい。
第二章更新予定は未だないにょ

今回の微妙な伏線「四葉のクローバーに託した太子の願い事」
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