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狼少年と美少女(、の最悪なスタート)
昔々のある時代。あるところに一人の少年が住んでいました。釣り目でいかにも悪餓鬼といった風貌です。その少年の名前はジョニーと言いました。彼は一匹狼と言われており、農夫の一人息子でもありました。大事に育てられている、といつも言われますが、彼はいつも怒られてばかりです。誰かを怪我させて両親を呼ばれたり、悪事を働いているので先生からの評判も、親からの信頼もありません。勿論、愛情なんてもの一切判らなかったのです。
しかし、彼は或る日、一人の少女と出逢いました。その少女の名はアニーといい可愛らしい美少女でした。ファンシーなものが似合う、とてもとても暴力的な行為とは離れた清純な少女。そんな子が隣に越してきて、しかも翌日には転校してきたのです。ジョニーの心は段々とアニーに惹かれていきました。話したことすらないのに見ているだけでドキドキしてしまうのです。
今日は学校が休みの日です。ジョニーは暇そうに原っぱに寝転んでいました。眼下に広がる大自然はもううんざりするくらい見たし、遊ぶ友達だっていない。彼は咥えていた草をぺっと吐き出すと視線を羊から空に移しました。青空の中で揺らめいている雲。風に吹かれゆれている草木はとても清清しい気分にさせます。ゆっくり瞳を閉じようとすると、何か人影が映ったような気がして、ジョニーはもう一度瞳を開けました。すると、木にぶら下っている少女がいたのです。普段なら放っておきますが、彼はとてつもなく顔を赤らめ声をひっくり返しながら尋ねたのです。
「ちょ、ちょ、ちょっ!」
少女は額に汗を掻きながらも、引き攣り笑いを浮かべ「こんにちは」と軽やかに言い放ちました。ですが、次の瞬間、彼女の腕にも限界がきたのでしょう。そのまま落ちていってしまいました。ジョニーは頭が真っ白になりました。気づいたら、アニーをお姫様抱っこをして家へ連れて行こうとしている最中でした。
(何やってんだろう)という後悔が生じましたが、今は彼女を安全な場所へ連れて行くことしか考えていません。アニーは最初は抵抗しようと思いましたが、優しいその気持ちに少し甘えました。少し足首を痛めて歩けなくなったと言うのもありますが、ただ彼の胸と腕に体を預けるのもありえなくはない、と思ったのです。
ベッドの上。大袈裟にアニーの足は固定されていました。最初は黙っていた二人でしたが、段々と包帯が巻かれていくに従ってアニーは泣きそうな瞳で足首を指差しました。
「不恰好! しかも、ただ捻っただけなのになんでこんなに……」
「しょ、しょうがないだろっ! 怪我したお前が悪い」
「な、なによぉっ」
といい、膨れっ面をしました。そこで二人の会話が途切れてしまいます。二人とも罰が悪そうに俯くだけで顔を見合わせようともしません。すると、壁にかけてあった鳩時計が可愛らしく鳴り響きます。時刻はもうすぐで夕刻を指そうとしています。アニーははっとした表情になり、ベッドから飛び下りました。痛みに少し顔を歪めましたが、一言大きな声で置いて行きます。
「あっ、あたしの門限五時だから。もっ、もう帰るから。じゃね、ジョニー君」
とすぐさま風のように走り去っていきました。ジョニーは引きとめようとしましたが、彼女の速さにはついていけそうもないので諦めてふっと溜め息をつきました。暫くの間項垂れていると、彼女が通っていた道をふと見つめます。
「足が痛かったんじゃねーのかよ……」
髪を掻いてから、先程まで彼女が寝ていたベッドにうつ伏せに飛び込みます。彼女の甘酸っぱい匂いが鼻を刺激し、彼の頭も刺激していきました。天井を見つめると、浮かぶのはアニーの赤らんだ顔や笑った表情です。ジョニーは一気に恥ずかしくなり、「ああっ!」と叫びながら枕を壁に投げつけました。まだ胸の中のむしゃくしゃが消えないので一発ベッドに拳を突きつけます。すると、何時ごろか帰ってきた親がいきなり扉を騒々しく開けて怒鳴り散らします。
「静かにしてよっ! あんた、弟ができたこと忘れたの?」
「あー、すんませんでした」
起き上がったと思いきや、すぐにベッドの中に潜り込みそのまま瞳を閉じました。煩かった親も呆れたのかすぐに後退していきました。扉が閉まる音と同時にジョニーは眠りに落ちました。
.
「ふっざけんなあああああああああっっ! だれがあんな女なんかと一緒にいくかよっ!」
あれから一週間後、色々なことがあり、アニーとジョニーは親密な仲になりました。すると同時に彼の恋心も萎れていきました。というのも、アニーがジョニーよりも腕っ節が強く男勝りだったからです。犬猿の仲となった今では一緒に学校へ登校、なんて恐れ多いことのひとつなのであります。いつサバイバルが起きてもおかしくない、そんな状態なのです。
けれど、親はそんなこと分かっちゃありません。誰とも仲良くしようとしなかったジョニーが、友達を、しかも女の友達を家に連れ込んできたのですから嬉しいにもほどがありません。
朝から喧嘩をしていると、呼び鈴がいいタイミングで鳴り響きました。母は人が変わったように「はーい」という声を出します。ジョニーはトーストを食べながら、小さな椅子に座っており、且つ隣にいる弟とじゃれあおうとした。其の時です。
「ジョニーっ! アニーちゃんが来たわよーっ」
「一緒にいこーっ。あたしたち、たった二人の友達じゃない?」
蒼褪めた顔、笑っている弟、悪魔の笑みを浮かべている女。
最悪な二人の関係が始ろうとしています。
(fin)
・後書き(徒然と)
たぶん、シリーズ物になるかなぁ?
前からあたためていたもの。
23で中篇としてうpするのもいいけどすぐに流されそう……。
初期の題名は確か「キチガイ少年と清楚??な美少女のものがたり」だったような気がする……。嗚呼、うそつきっ!(え
とにかく、アニーとジョニーは書いててもんすっごく楽しいです。
暇があったらまた書こうかなーと目論見中。
しかし、彼は或る日、一人の少女と出逢いました。その少女の名はアニーといい可愛らしい美少女でした。ファンシーなものが似合う、とてもとても暴力的な行為とは離れた清純な少女。そんな子が隣に越してきて、しかも翌日には転校してきたのです。ジョニーの心は段々とアニーに惹かれていきました。話したことすらないのに見ているだけでドキドキしてしまうのです。
今日は学校が休みの日です。ジョニーは暇そうに原っぱに寝転んでいました。眼下に広がる大自然はもううんざりするくらい見たし、遊ぶ友達だっていない。彼は咥えていた草をぺっと吐き出すと視線を羊から空に移しました。青空の中で揺らめいている雲。風に吹かれゆれている草木はとても清清しい気分にさせます。ゆっくり瞳を閉じようとすると、何か人影が映ったような気がして、ジョニーはもう一度瞳を開けました。すると、木にぶら下っている少女がいたのです。普段なら放っておきますが、彼はとてつもなく顔を赤らめ声をひっくり返しながら尋ねたのです。
「ちょ、ちょ、ちょっ!」
少女は額に汗を掻きながらも、引き攣り笑いを浮かべ「こんにちは」と軽やかに言い放ちました。ですが、次の瞬間、彼女の腕にも限界がきたのでしょう。そのまま落ちていってしまいました。ジョニーは頭が真っ白になりました。気づいたら、アニーをお姫様抱っこをして家へ連れて行こうとしている最中でした。
(何やってんだろう)という後悔が生じましたが、今は彼女を安全な場所へ連れて行くことしか考えていません。アニーは最初は抵抗しようと思いましたが、優しいその気持ちに少し甘えました。少し足首を痛めて歩けなくなったと言うのもありますが、ただ彼の胸と腕に体を預けるのもありえなくはない、と思ったのです。
ベッドの上。大袈裟にアニーの足は固定されていました。最初は黙っていた二人でしたが、段々と包帯が巻かれていくに従ってアニーは泣きそうな瞳で足首を指差しました。
「不恰好! しかも、ただ捻っただけなのになんでこんなに……」
「しょ、しょうがないだろっ! 怪我したお前が悪い」
「な、なによぉっ」
といい、膨れっ面をしました。そこで二人の会話が途切れてしまいます。二人とも罰が悪そうに俯くだけで顔を見合わせようともしません。すると、壁にかけてあった鳩時計が可愛らしく鳴り響きます。時刻はもうすぐで夕刻を指そうとしています。アニーははっとした表情になり、ベッドから飛び下りました。痛みに少し顔を歪めましたが、一言大きな声で置いて行きます。
「あっ、あたしの門限五時だから。もっ、もう帰るから。じゃね、ジョニー君」
とすぐさま風のように走り去っていきました。ジョニーは引きとめようとしましたが、彼女の速さにはついていけそうもないので諦めてふっと溜め息をつきました。暫くの間項垂れていると、彼女が通っていた道をふと見つめます。
「足が痛かったんじゃねーのかよ……」
髪を掻いてから、先程まで彼女が寝ていたベッドにうつ伏せに飛び込みます。彼女の甘酸っぱい匂いが鼻を刺激し、彼の頭も刺激していきました。天井を見つめると、浮かぶのはアニーの赤らんだ顔や笑った表情です。ジョニーは一気に恥ずかしくなり、「ああっ!」と叫びながら枕を壁に投げつけました。まだ胸の中のむしゃくしゃが消えないので一発ベッドに拳を突きつけます。すると、何時ごろか帰ってきた親がいきなり扉を騒々しく開けて怒鳴り散らします。
「静かにしてよっ! あんた、弟ができたこと忘れたの?」
「あー、すんませんでした」
起き上がったと思いきや、すぐにベッドの中に潜り込みそのまま瞳を閉じました。煩かった親も呆れたのかすぐに後退していきました。扉が閉まる音と同時にジョニーは眠りに落ちました。
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「ふっざけんなあああああああああっっ! だれがあんな女なんかと一緒にいくかよっ!」
あれから一週間後、色々なことがあり、アニーとジョニーは親密な仲になりました。すると同時に彼の恋心も萎れていきました。というのも、アニーがジョニーよりも腕っ節が強く男勝りだったからです。犬猿の仲となった今では一緒に学校へ登校、なんて恐れ多いことのひとつなのであります。いつサバイバルが起きてもおかしくない、そんな状態なのです。
けれど、親はそんなこと分かっちゃありません。誰とも仲良くしようとしなかったジョニーが、友達を、しかも女の友達を家に連れ込んできたのですから嬉しいにもほどがありません。
朝から喧嘩をしていると、呼び鈴がいいタイミングで鳴り響きました。母は人が変わったように「はーい」という声を出します。ジョニーはトーストを食べながら、小さな椅子に座っており、且つ隣にいる弟とじゃれあおうとした。其の時です。
「ジョニーっ! アニーちゃんが来たわよーっ」
「一緒にいこーっ。あたしたち、たった二人の友達じゃない?」
蒼褪めた顔、笑っている弟、悪魔の笑みを浮かべている女。
最悪な二人の関係が始ろうとしています。
(fin)
・後書き(徒然と)
たぶん、シリーズ物になるかなぁ?
前からあたためていたもの。
23で中篇としてうpするのもいいけどすぐに流されそう……。
初期の題名は確か「キチガイ少年と清楚??な美少女のものがたり」だったような気がする……。嗚呼、うそつきっ!(え
とにかく、アニーとジョニーは書いててもんすっごく楽しいです。
暇があったらまた書こうかなーと目論見中。
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