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C'est encore demain
「あー、アニィー……」
俺は今更ながら後悔をしている。彼女と付き合ってしまったことや、彼女を愛してしまったこと。裏切ったこと。そして、幸せにしてやれなかったこと。自分への苛立ちが日に日に増していっているような気がする。頭に手を当てると、知恵熱を出しているようで熱い。
けれど、仕事をさぼっているように見えてしまう(何時もの俺の態度は不真面目だから)ので、ガネンに頼んだ。
「熱出たっぽいから体温計ないか?」
「……スティーブ、いつまで貴女はそうやって駄々を……」
「あー、すみませんっ。もうアニーのことは忘れますっ」
こいつに懇願したのが悪かったと思い、俺はすぐさま踵を返した。俺は子供の頃から変わっていない。我儘で自己中心的で直ぐに嫉妬の炎を燃やして、自分も相手も傷つけてしまう。そんなの重々分かっている癖に、ブレーキがかからない。
けど、ブレーキがかからなくなったのは、ダレンのせいだと感じている。あいつは俺以上に他人を裏切った。今だってアニーに何も打ち明けずに、バー・ホーストンと仲良くやっているだろう。若しかしなくとも、ガールフレンドやら友達だって作っているに違いない。悔しい、悔しくて仕方がない。なんで、俺以外の親友をあいつは作るのだろう。なんで、俺の愛しい人を裏切るのだろう。
途端に怒りの炎が燃え盛る。アニーのことを思うと、あの時のダレンの表情や言葉を思い浮かべると。けれど、俺が一番最悪だってことは分かってる。世間から見たら、ダレンは正義の味方で俺は差し詰め悪魔だろう。だって、愛しい人を見捨ててしまったから。
怒りの炎と同時に俺の頬には涙が伝う。そして、意識が遠のいた。
*
あの夜、俺は家を出てた。「妊娠した」と聞いたのは直接ではなく、電話越しからだ。其の時の俺は大いに喜んだ。しかし、前々から決めていたことがあった。……それは、彼女に暴言を吐き、そのまま家を出て行くことだった。子供の頃から考え付いていたこと。だが、彼女と触れ合っていくうちに、「憎しみ」は「愛」へと変わっていった。最初はダレンと同じような表情をするアニーが憎かった。出来ればこの手で葬り去りたかった。けれど、あいつへの復讐劇がつまらないものになってしまうため、其れを避け続けてきた。しかし、今はどうだ。アニーが愛しくて、愛しくて、彼女の側にずっといたくて仕方がないのだ。
けれど、そんな愛情はあの時で終わりにした。彼女にはもっと、そう、素敵な人が現れるはずだからだ。
寒い。体の芯まで凍えそうな寒さだ。彼女は多分、俺の帰りを待ち草臥れてるであろうが、寝てしまっているであろう。キッチンで。そんな寝顔を想像したら、今から家へ向かうのが億劫になった。このまま行かずに、行方を晦ますか、それともバンパニーズに身を委ねてしまうか。それとも……俺は首を横に振り、そのまま家の中へ入った。まだ明かりがついていて、アニーらしく思わず笑ってしまった。キッチンで彼女を見た次の瞬間、俺は笑みを消失した。というよりも、冷ややかな瞳に変えた。そして、ゆっくりと彼女の目蓋にキスをし耳元で囁いた。
「やあ、アニーお早う」
彼女はそれだけで起きた。少しばかり寝惚けていたのか俺を凝視している。俺の正体が分かったのか、いきなり抱きつき「お帰りなさい」と微笑む。こんなことは予想の範疇だ。俺は優しく彼女の肩を離し、冷たい笑いをした。
アニーはこれから何が分かるか検討がついたらしく、まるで獣をみるような目で俺を見る。やめてくれ、やめてくれ。そんな声が心の中に木霊する。アニーに対してか? いや、違う。こんな俺に対してだ。
「寝心地はよかったか……? お前の夢を当ててあげようか。其れは、三人で幸せに暮らす夢。そうだろう……? アニー」
*
俺は一晩中泣き喚いた。あの時のことが悔しくて悔しくて堪らない。アニーの泣き声が耳にこびり付いている。あの時、華奢な彼女の体を抱きしめる事だってできた。なのに、なのに……。
憎むべきは相手、そうダレン。ダレン・シャンだ。あいつが裏切らなければアニーだって俺だって幸せになれたんだ。
「C'est encore demain」
彼女は寝息で言っていたような気がする。誰に対して言ってたのだろう。昔の級友か? それとも、ダレンか。いや……俺に対してだろう。彼女はきっと薄らでも分かっていただろう。
さよなら……愛すべき人。
fin
懐かしいものをハケーン。
スチアニですね。ハハハハ。
推敲? 書いたときやったからたぶん平気です。
てか、このままの文の方がいいですね。
今のわたしの小説は悲惨すぎる。うげげ。
「C'est encore demain」は「また明日」っていう意味らしいです。当時のわたし曰く。
冷たい笑いってなんだよ(笑)。
「冷たい笑みを浮かべながら、優しく彼女の肩を離した」
でいいじゃまいか。やべ、日本語おかしwwww
やっぱり、最初のテーマにそられてないっす。
別に長編じゃないからいいけど(苦笑
やっぱり、スチアニは萌えるwwww
俺は今更ながら後悔をしている。彼女と付き合ってしまったことや、彼女を愛してしまったこと。裏切ったこと。そして、幸せにしてやれなかったこと。自分への苛立ちが日に日に増していっているような気がする。頭に手を当てると、知恵熱を出しているようで熱い。
けれど、仕事をさぼっているように見えてしまう(何時もの俺の態度は不真面目だから)ので、ガネンに頼んだ。
「熱出たっぽいから体温計ないか?」
「……スティーブ、いつまで貴女はそうやって駄々を……」
「あー、すみませんっ。もうアニーのことは忘れますっ」
こいつに懇願したのが悪かったと思い、俺はすぐさま踵を返した。俺は子供の頃から変わっていない。我儘で自己中心的で直ぐに嫉妬の炎を燃やして、自分も相手も傷つけてしまう。そんなの重々分かっている癖に、ブレーキがかからない。
けど、ブレーキがかからなくなったのは、ダレンのせいだと感じている。あいつは俺以上に他人を裏切った。今だってアニーに何も打ち明けずに、バー・ホーストンと仲良くやっているだろう。若しかしなくとも、ガールフレンドやら友達だって作っているに違いない。悔しい、悔しくて仕方がない。なんで、俺以外の親友をあいつは作るのだろう。なんで、俺の愛しい人を裏切るのだろう。
途端に怒りの炎が燃え盛る。アニーのことを思うと、あの時のダレンの表情や言葉を思い浮かべると。けれど、俺が一番最悪だってことは分かってる。世間から見たら、ダレンは正義の味方で俺は差し詰め悪魔だろう。だって、愛しい人を見捨ててしまったから。
怒りの炎と同時に俺の頬には涙が伝う。そして、意識が遠のいた。
*
あの夜、俺は家を出てた。「妊娠した」と聞いたのは直接ではなく、電話越しからだ。其の時の俺は大いに喜んだ。しかし、前々から決めていたことがあった。……それは、彼女に暴言を吐き、そのまま家を出て行くことだった。子供の頃から考え付いていたこと。だが、彼女と触れ合っていくうちに、「憎しみ」は「愛」へと変わっていった。最初はダレンと同じような表情をするアニーが憎かった。出来ればこの手で葬り去りたかった。けれど、あいつへの復讐劇がつまらないものになってしまうため、其れを避け続けてきた。しかし、今はどうだ。アニーが愛しくて、愛しくて、彼女の側にずっといたくて仕方がないのだ。
けれど、そんな愛情はあの時で終わりにした。彼女にはもっと、そう、素敵な人が現れるはずだからだ。
寒い。体の芯まで凍えそうな寒さだ。彼女は多分、俺の帰りを待ち草臥れてるであろうが、寝てしまっているであろう。キッチンで。そんな寝顔を想像したら、今から家へ向かうのが億劫になった。このまま行かずに、行方を晦ますか、それともバンパニーズに身を委ねてしまうか。それとも……俺は首を横に振り、そのまま家の中へ入った。まだ明かりがついていて、アニーらしく思わず笑ってしまった。キッチンで彼女を見た次の瞬間、俺は笑みを消失した。というよりも、冷ややかな瞳に変えた。そして、ゆっくりと彼女の目蓋にキスをし耳元で囁いた。
「やあ、アニーお早う」
彼女はそれだけで起きた。少しばかり寝惚けていたのか俺を凝視している。俺の正体が分かったのか、いきなり抱きつき「お帰りなさい」と微笑む。こんなことは予想の範疇だ。俺は優しく彼女の肩を離し、冷たい笑いをした。
アニーはこれから何が分かるか検討がついたらしく、まるで獣をみるような目で俺を見る。やめてくれ、やめてくれ。そんな声が心の中に木霊する。アニーに対してか? いや、違う。こんな俺に対してだ。
「寝心地はよかったか……? お前の夢を当ててあげようか。其れは、三人で幸せに暮らす夢。そうだろう……? アニー」
*
俺は一晩中泣き喚いた。あの時のことが悔しくて悔しくて堪らない。アニーの泣き声が耳にこびり付いている。あの時、華奢な彼女の体を抱きしめる事だってできた。なのに、なのに……。
憎むべきは相手、そうダレン。ダレン・シャンだ。あいつが裏切らなければアニーだって俺だって幸せになれたんだ。
「C'est encore demain」
彼女は寝息で言っていたような気がする。誰に対して言ってたのだろう。昔の級友か? それとも、ダレンか。いや……俺に対してだろう。彼女はきっと薄らでも分かっていただろう。
さよなら……愛すべき人。
fin
懐かしいものをハケーン。
スチアニですね。ハハハハ。
推敲? 書いたときやったからたぶん平気です。
てか、このままの文の方がいいですね。
今のわたしの小説は悲惨すぎる。うげげ。
「C'est encore demain」は「また明日」っていう意味らしいです。当時のわたし曰く。
冷たい笑いってなんだよ(笑)。
「冷たい笑みを浮かべながら、優しく彼女の肩を離した」
でいいじゃまいか。やべ、日本語おかしwwww
やっぱり、最初のテーマにそられてないっす。
別に長編じゃないからいいけど(苦笑
やっぱり、スチアニは萌えるwwww
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