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雲行き怪しい午後の日に

二次創作main…日和、VOCALOID率高め   稀に掌アリ
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  • 03/16/01:55

ファンタジックな夢を見よう


 どん、と落ちる。その前の記憶は一切無い。ただ、私は暗い洞穴に落とされていた。軽くお尻が痛いがそんなこと知らない。
 それよりも、なんで此処にいるのかを考える方が先決なので、推理をしてみる。どうヘマをしたらこんな光も無いところへ落ちてしまうのか。というか、何で落ちたときの記憶がないのか。それがなければ推理など出来るはずが無い。途方に暮れた。
 そこら辺にどてっと座ろうとすると、いきなり光が現れる。スポットライト否、蛍光灯のようなものだった。しかも、蝿がたかっている始末でロマンティックの欠片さえない。泣きたくもなったが其れよりも驚いた。なんと昔、絵本で見た主人公の洋服そっくりなのだ。恐らく、その本の題名は不思議の国のアリス。なんと王道だろう。鋏を持っていたらフリフリのところをざくっと切ってしまおうかとも思った。こんな、フリフリな洋服は大嫌いだ。しかも、頭にはカチューシャ。鏡を見たら、恐らく割ってしまうほどの気持ち悪さ。乙女チックなんて私には似合わない。
 昔から男勝りと言われてきた。体つきも父ににて少しだけ筋肉質。顔も確かに美形とは言われるが、切れ長な瞳と一重瞼ときりっとした表情が男らしさを醸し出している。女の子らしい男の子と良く勘違いされる。小学校の頃だろうか。髪を一つに束ねていたら似合わないと男子に嘲笑された。家に帰って大泣きした私は、その頃からボブショートに変更した。
 酷く嫌な思い出が頭に溢れる。気づいたら、私は歩いていた。早くも遅くもない速さ。だけど、足取りは最悪。すると、笑い声が聞こえた。薄気味悪い、背筋が凍るような笑い声だ。私はぞっとしたがすぐに瞳をきりりとさせ、その気味悪い声がする方を向く。

「ふははは、惨めな姿だね。望」
「あ、アンタは……」

 シルクハットを被った謎の男。でも、私がよく知っている男だ。名前を言おうとすると、急にぱっと明るくなり部屋が現れた。なんとも目がチカチカするような色合いだが、これで確定した。

「変人っ!」

 叫ぶと、男はこけっというリアクションを取った。酷く長い兎の耳は変人としか他に言いようが無い。もしくはコスプレオタクとでも良いだろう。だがしかし、美形には違いなかった。端正な顔立ち。色白な肌。くっきりとした顔彫り。若しかしたら私よりも女の子らしいかもしれない。

「ま、いい。そんなことだろうと思ったよ」

 と、呟きながら男は高い塀からさっと降りてきた。先程までは本棚の上に乗っかっていたというのに、おかしい。私がいる場所も変わってしまっている。気づくと男は私の顎を優しく掴んでいた。意外なことに私よりも背が高く足も長い。間近で見ると本当に可愛らしい顔立ちをしている。
 すっと姿が消えた。彼は跪いて私の手に口付けをした。一気に顔が火照っていくのが分かる。そして、男は先程とは違った雰囲気でこう呟いた。

「望。僕は君のパートナーだ。この世界を攻略する。君の夢の案内役だ。たまに違う僕が出てくるかもしれない。先程の僕が、そうだ」

 なんとも意味が分からない。けれど、紳士らしくなっているのは確かで、何処となく王子様とも見えてきた。さっきまでは普通の兎のような悪戯っ子だったのに。

「僕の名は、ムーン。君は……」

 私と同じ目の高さになる。そして、くしゃっと笑みを浮かべると私の視界はそれで途絶えた。吃驚したので瞳を開ける。すると、目の前には男もといムーンの顔。なんと言っても唇の感触がこう告げていた。彼は私に口付けをしている、と。思考回路がショートした。寸前じゃなくてもうなっている。何にも考えられない。甘く蕩けそうだ。唇が離れると、彼は言葉を続けた。

「君はアリス。今日から君は、この夢の世界の有栖だよ。さあ、旅に出よう。君が此処に来るまでの記憶を思い出すまで、旅は終わらない」

 シルクハットを取り、彼は手を差し伸べた。私はその手を叩く。

「勝手にキスする奴なんぞと一緒に行けるかってんだ!」

 あかんべえをして、私はムーンを無視して先を歩く。目の前には腐敗している森が広がっている。別にいい。彼が私を助けて、私が彼を助ければどうにかなる道だろう。何となく、何となくで微かだけど彼が呟いた言葉が耳に届いた。

「不思議な有栖だ。でも、それが……」

 声が消えた。吃驚して後ろを振り返ると、彼はいない。どうしたのかと思うと、右手に温もりが伝わってきた。隣を見ると憎たらしい笑みを浮かべているムーン。嗚呼、脳髄まで彼に侵されてしまいそうだ。私は耳まで全身を火照らせ、彼の手を引くように森へと入っていった。

 不思議、フシギ。それは、フシギで不思議な貴方との旅の始まり。

fin



アリスパロは誰でもやってみたいもの。
でも、勢いで書いたから意味が分からない。
冒頭部分はマンキンのアンナみたいな女の子にしようと思ったんだけど。
やっぱり、わたしには男勝りな女の子が書きやすいようです。

ムーン? 月とは一切関係御座いませんよ。
ただの思い付きです(にぱ)

続きなんてもの作ったら恐らく長くなるのでやめますぜぃ。
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