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あさの星たちはみずいろの夢をみる
小さな、小さな声がする。其れは小さな小さな星達の夢の中。
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一人の少女が水辺に浮かんで空を眺めていた。とてもとても寂しそうな目で、頭の中は空っぽでとてもとても可哀想だった。瞳は大きく円らで唇は薔薇色のように美しく、顔立ちは凛々しい。不思議な美少女という単語がぴったりの少女だ。
少女は大粒の涙を流していた。まるで何かを捜し求めているように彼女は水辺に立っていた。すると、白いユニコーンが湖の中から飛び出してきた。優しくて温かみのある声で少女に問いかける。「私の力が必要か」と。其れは優しいのに少しだけ厳しい口調だった。少女は涙を拭いてあらん限りの声を出した。
「わたしをもっと強くしてください。もっともっと力をください。皆を守るために」
ユニコーンはゆっくりと彼女を見つめた。薔薇色の美しく小さな唇は少々震えており、偉大なユニコーンの存在に恐れているようだった。拳も血が滲むくらい精一杯握っているはずなのに小さな震えが止まらないのである。ユニコーンはふっと笑い彼女を抱き締めた。其の抱き締めている姿は、まるで彼女の父親のように大きく強く温かみのあるものだった。
少女に掛かっていた力はするりと解け、彼女は先程よりも大粒の涙を流した。そして、その場に泣き崩れた。きっと、直ぐに泣き止まないだろう。そう思ったユニコーンは角だけを残してその場を去った。彼女が気づいたときには、ユニコーンの姿はなかった。だがしかし、闇だった其の世界には光が満ちた。
裸足で傷だらけの少女は走った。角を胸に抱えて仲間の元へ向かった。そう、笑みを浮かべながら。
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みずの、みずの、みずいろの温かな星達の小さな小さな切ないお話
(thanks! 笹様)
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